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SEO=オワコン?“ググらない”検索行動
2000年代からユーザーの検索行動としてGoogle検索は一般化し、何かを調べることを「ググる」と表現されるように。それほどGoogle検索は普及し、Webマーケティングの一環としてSEO対策を積極的に実施してきた企業も多いことでしょう。
ただ最近は、「SEOはオワコン(終わったコンテンツ)」という意見をしばしば耳にします。オワコンと言われるのは、おそらく外部要因と内部要因が関係していると考えられます。まずは外部要因について解説していきます。
SEOがオワコンになる可能性が考えられる外部要因として、以下が挙げられます。
・AIの台頭
・SGE(AI Overview)の登場
・SNSのシェア率の増加
調べ物は検索エンジンからAIに置き換わる可能性
近年、ChatGPT(チャットジーピーティー)やCopilot(コパイロット)などの対話型AIサービスの台頭もあり、ユーザーの調べものがGoogleやYahoo!等の検索エンジンからAIに置き換わるという意見も散見されます。
例えばアメリカのICTリサーチ・アドバイザリー企業の『Gartner』の公表では、「AI チャットボットなどの使用により、検索エンジンのマーケットが2026年までに25%のシェアを失う」と推測しています。
今後、AI チャットボットの品質、利便性が向上しスマートフォンからも簡単にアクセスできるようになれば、ググる行為は減少しAIが検索のメインになる日も近づくでしょう。
・ChatGPT(チャットジーピーティー)・・・OpenAI社が開発・提供しているAIサービスです。チャットに質問を投げかけるとAIが回答してくれる仕組みとなっています。新開発された「ChatGPT-4o(4オムニ)」では、回答速度や音声、画像生成のパフォーマンスが大きく向上し、その技術は常に進歩しています。 ・Copilot(コパイロット)・・・マイクロソフトが開発した生成AI。AIによる質問への回答も可能です。テキストやコードの生成も可能で、Bingの検索データとOpenAIのGPT-4を統合した技術が使われています。 |
SNSで情報収集する人が増加している
SNSで情報を集める人が増えたことも、SEOはオワコンと言われるひとつの理由です。
総務省情報通信政策研究所が「仕事や調べものに最も利用するメディア」について調査を行っています。その結果によると、利用するメディアは全世代でインターネットが84.9%を占めており、まだまだインターネットの利用率が高いです。
とはいえ、ソーシャルメディアで情報収集している人は31.7%であり、61.7%のニュースサイトの次に多い結果でした。令和3年は28.9%だったことから、ソーシャルメディアを情報収集として利用している人は増えてきていることが分かります。
一方で、SNSの情報は信頼性に問題があるため、検索エンジンを使って情報を得ようとする動きは今後も需要があるとは考えられます。ただし、検索エンジン一強の時代が過ぎていることが分かります。
出典:総務省情報通信政策研究所「令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
新たな検索機能「AI Overview(SGE)」実装の影響とは?
SGEとは、「Search Generative Experience」の略称で、AIを活用したGoogleが提供する検索機能のことです。日本では2023年8月から試験的に導入されており、将来的に本格化される可能性があるため、動向が注目されています。SGEを有効化すると、ユーザーの検索語句に対して、検索結果の上部に生成AIが回答を表示します。
2024年5月には名称がAI Overviewに変更し、アメリカの全ユーザーに一般公開に。複雑な文章での検索や、動画や音声ファイルを使った検索が可能になりました。この機能が本格化されると、ユーザーは検索画面で疑問が解消される現象(ゼロクリックサーチ)が頻繁に起き得ます。
そのため、対策キーワードを上位表示させる重要性は減り、「SEO=オワコン」という認識が広がったと考えられます。日本ではAI Overview(SGE)はまだ試験段階であり、AIによる情報は正確ではありません。また必ずしも生成AIによる回答が表示されるわけではなく、検索意図の種類に応じて異なります。
現段階でSEOがオワコン化するとは、考えられませんがゼロクリックサーチは増加することが予想されます。
本質的な施策ができていないSEOはオワコンに
次に内部的な要因として、表層的なSEOは上位表示が難しくなっていることから、成果に結びつかずにオワコンと言われていることも考えられます。
本質的でないSEOとは、以下のようなものです。
・キーワードの詰め込み ・低品質記事の量産 ・自作自演のリンク ・意味がなくわかりにくい長文 ・キーワードの出現率・含有率の調整 ・必要ない動画・画像の埋め込み ・記事を公開したまま放置している |
しかし、すぐに結果は出なくても有効な対策を講じることで、アクセス数を伸ばし検索順位を上げていくことは可能です。
それではなぜ本質的なSEOが求められるようになったのか、背景を解説していきます。
Googleアルゴリズムのアルゴリズムアップデート
Googleのコアアルゴリズムアップデートにより、検索結果で上位表示されているメディアも大きく順位が変動することがあります。アップデートが起こると順位が急に下がることがあるため、SEO対策をしても意味がないと考える人もいるのです。
Googleアルゴリズムとは、ユーザーにとって最適な検索結果を表示できるようにGoogleが定めた検索順位を決めるルールのことです。Googleはユーザーの利便性向上のため、定期的にアルゴリズムをアップデートしています。
2024年3月に行われたコアアルゴリズムアップデートでは、大量生成されたコンテンツの不正使用や、期限切れドメインの不正使用などのスパム行為は厳しくチェックされます。
アップデートに影響されないコンテンツを作るには、ユーザー体験に役立つ情報を提供すると共に、リライトを行い情報を最新に保つことが大切です。
また、常にアルゴリズムのアップデート情報をキャッチし、対策を行うことも必要でしょう。
ドメインパワーの重要性が増している
検索結果の上位に表示されているページは、サイトのドメインパワー(検索エンジンからの信頼度を数値化したもの)が高いことが多いです。そのため、新規にサイトを立ち上げてもなかなか検索結果に表示されにくい現状があります。このこともSEOはオワコンといわれることと関係しています。
ただし、ドメインパワーが低い状態でも上位表示ができないわけではありません。実際に弊社の支援企業ではドメインパワーが10未満でも主要キーワードで1位獲得の事例が多数あるため、キーワード戦略やコンテンツ設計によってドメインパワーの低さをカバーできます。
また、戦略的にドメインパワーを高めることも可能です。ユーザーの目的を達成する良質なコンテンツを提供し、正しいSEO施策を行えば自然と被リンクが集まり、ドメインの強化に結びつきます。
被リンクの効果や増やし方について詳しく知りたい方は、こちらの記事をお読みください。
SEO=オワコンではない!有効なマーケティング施策へと変貌させるには?
SEOは総合的なマーケティング戦略の一部です。Web集客を考えるうえで、GoogleやYahoo!で検索するユーザーとの接点を最大化させる重要な手段となります。またSEOの施策を通して身につく「ユーザーの検索意図をとらえる」というマーケティング視点は、コンテンツ成長のために有効な財産にもなるでしょう。
今後の情勢を踏まえた観点からもSEOを継続的に行うべき理由として、以下の2つがあります。
・Cookie規制による脱・広告
・AIにはカバーできないニーズへの対応
ここでは、各理由を詳しく解説していきます。
Cookie規制による脱・広告
昨今はCookie(サイトに訪れたときに保存される、IDやログインパスワード、購入履歴などのデータ)の規制が強くなっていて、Web広告による顧客獲得がさらに難しくなると考えられています。近年は広告費も高騰していることから、コンテンツマーケティングによるSEO施策の需要は今後も伸びていくと考えられます。
2024年の4月にナイル株式会社が、全国のマーケティング従事者463名を対象にアンケート調査を行っています。その結果によると、約半数がCookie廃止により広告費が増えたと回答しています。また、デジタルマーケティングのなかで最も重要な施策は、コンテンツマーケティングだと回答した人が一番多い結果となっています。
特にCookie規制によって影響が大きいのは、リターゲティング広告などの認知広告と考えられます。ウェブ上でユーザー情報を取得することが困難になれば、リターゲティング広告の性質上、認知広告の配信に制限がかかります。広告表示するためにも費用を引き上げていくことになり、結果的に高騰する流れになるのではないでしょうか。
そこでウェブ広告を介さない、オーガニック流入メインのコンテンツSEOは認知広告の代替となることから、コンテンツマーケティングに注力する企業も増加すると考えられています。
AIでは満たせないニーズ
「生命・健康に関わる情報を調べたい」「体験談を見たい」といった場合に、AIの回答だけでは十分なニーズを満たせない可能性があります。
AI Overview(SGE)やChatGPTの登場により、クエリによってはAIの回答で目的を達成する人も出てくるでしょう。これにより、少なからず検索流入数の減少が予測されます。
しかし、生成AIの使用は「ハルシネーション」と呼ばれる間違った情報を伝えることや、偏った回答をすることが問題視されていることも事実です。
生成AIだけを使うのはリスクが高いため、検索エンジンで情報を多く・かつ詳細に集める人はまだまだ減らないと考えられます。そのため、SEOはまだオワコンとはいえないでしょう。
「SEOはオワコン」といわれている今行うべきこと
「SEOはオワコン」といわれている今行うべきことは、以下の2つです。
・良質なコンテンツを提供する
・複合的な対策を講じる
順番に解説します。
良質なコンテンツを提供する
良質なコンテンツ作りや、キーワード戦略を行えばドメインパワーに依存せず、SEOで結果が出せます。
未知株式会社ではドメインパワーが8〜10程度のメディアでも、開始6カ月でビックワードによる上位表示を獲得しました。その結果、毎月CVを獲得することに成功しています。
なお、良質なコンテンツ作りに欠かせないのがE-E-A-T(「Experience(経験)」「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」)というGoogleの評価基準です。
Googleは、ユーザーの利便性を向上させるためE-E-A-Tの面で優れたサイトを高く評価しています。したがって、検索結果でサイトを上位表示させるには、E-E-A-Tを意識した良質なコンテンツの提供が大切なのです。
E-E-A-Tについて、詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
複合的な対策を講じる
AI Overview(SGE)などの影響で検索からの流入数の減少が予想されます。したがって、SEOとそのほかの対策を複合的に実施して、集客を行っていく必要があるでしょう。
SEOと一緒に実施したい施策として、以下のような方法があります。
施策 | 特徴 |
SNSマーケティング | ・Youtube、Instagram、Xなどを活用したマーケティング ・情報が拡散しやすい、企業イメージのブランディングがしやすいなどの特徴がある |
メールマーケティング | ・メールをもちいて、見込み顧客にアプローチをする方法 ・コストが安く、効果検証もしやすい |
ホワイトペーパー | ・ホワイトペーパーとは、企業が見込み顧客獲得のために提供する、自社商品に関する資料のこと ・資料をダウンロードしてもらうときに、メールアドレス、解決したい課題などの顧客情報を獲得できる |
MEO(Map Engine Optimization マップエンジン最適化) | ・Googleマップで自分のお店の検索順位を上げる施策のこと ・飲食店や美容院など、実店舗を持つ場合に効果を発揮する |
なお、コンテンツマーケティングについては、こちらの記事で代表的な手法を解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ
AIやSNSが発達してきたとはいえ、それぞれに得意・不得意な部分があり、完全に「ググらない」とは考えにくいです。
適切なSEO対策を実施しWeb集客を行う必要があるでしょう。また、SEOの成果を高めるためには、新しい技術を取り入れたうえでの施策を行うことが大切です。
自社でのSEO施策が難しい場合は、外部の業者に依頼する方法もあるでしょう。
未知株式会社では、コンテンツマーケティングや採用オウンドメディアの構築など幅広い支援実績を行っています。無料のサイト診断も実施しているため、興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。