プロモーションで期待できる効果とは
プロモーションには、主に以下のような2つの役割があります。
・自社が販売する製品やサービスについての認知度をアップさせる
・消費者の意欲を誘い、動機づけをする
プロモーションを行い、上記の役割を担うことで期待できる効果を詳しく見ていきましょう。
マーケットシェアの拡大
プロモーションを行うことで、マーケットシェアを拡大できます。マーケットシェアとは、自社製品やサービスが市場でどの程度の割合を占有するのかを表す指標です。
マーケットシェアの拡大は、対象市場内に数ある他社商品の中から自社商品を選んでもらうことで実現できます。すなわち、他社商品との差別化が重要です。
プロモーションには、自社商品を広め理解を促す認知度向上の役割があります。認知度が高まれば、自社商品の理解が深まるとともに他社との差別化を図れ、マーケットシェアの拡大につながります。
新規顧客の獲得
プロモーションの役割は、消費者の購入欲を誘い、購入までの動機づけをすることです。見込み客向けのプロモーションに取り組むことで、新規顧客獲得を期待できます。
例えば、消費者の関心が高いコンテンツ連動型ウェブ広告でアプローチする、クーポンや特典で初購入のハードルを下げるなどの取り組みが有効です。
初めての購入は消費者にとって手を出しづらいものでしょう。そのため、消費者の興味を引きけるように商品をアピールしたり、割引・試供品などで費用面の抵抗を減らすことで新規顧客獲得の可能性が高まります。
顧客ロイヤリティの向上
既存顧客向けのプロモーションを実施することで、顧客ロイヤリティの向上が見込めます。 顧客ロイヤリティとは、自社や自社商品への信頼や愛着度合を示すものです。顧客ロイヤリティが高いと消費者が自社商品に満足しており、リピート購入したり口コミで商品を宣伝したりしてくれます。
顧客ロイヤリティを向上させるには、SNSやイベント開催によるプロモーションが有効です。
SNSでは消費者と相互にやり取りでき、イベント開催ではリアルタイムに反応を見ながら消費者の需要を満たせます。コミュニケーションを密に図れるプロモーションでは、消費者との距離感が近いため顧客ロイヤリティを高められます。
効果的なプロモーション戦略の手法
プロモーション活動が行われる媒体は、テレビ、ラジオ、SNS、動画配信サイトなど多岐に渡ります。そのため、効果的なプロモーションを行うためにも、利用する媒体の特性を十分に把握する必要があります。
媒体によって、利用者の年齢層や利用方法、頻度、リーチ数が異なってくるため、効果的なプロモーション活動を行う上で、使用する媒体の特性理解は重要なポイントとなってきます。この機会に押さえておきましょう。
SNSを使ったプロモーション
XやInstagramなど、SNSは利用者が年々増加している媒体となっています。そのため、プロモーションを行おうと考える企業にとって、まずはSNSを使用した活動は必須となっています。
SNSを使用したプロモーションにおいて得られる効果として最も特徴的なのは、ユーザー同士でトピックをシェアする機能が備わっていることが多いため、拡散を目的としたプロモーション活動に向いているという点です。
また、ほかのメディアでは、企業から消費者への一方的な発信が主でしたが、SNSは互いに送受信の関係にあるため、ユーザーとの距離が近く、親近感や信頼関係を構築しやすいメディアとなっているのも、特長のひとつとなっています。
ブログを使ったプロモーション
オウンドメディアのひとつとして企業でブログを運営し、プロモーションに活用する方法もあります。
ブログでプロモーションを行う場合、SEO(Search Engine Optimization 検索エンジン最適化)対策は非常に大切です。ユーザーが特定のキーワードで検索をした際に、自社ブログへの流入を増やしたり、上位に表示させたり、集客を促したりすることができるからです。
SEO対策を適切に行い、製品・サービスへの興味が高い状態でブログにアクセスしてもらえば、売り上げにつながる可能性が高まります。
また、ブログを活用したプロモーションでは、広告企業を利用した宣伝に比べ広告費用を抑えられる点もメリットのひとつです。
関連記事:【全体像】オウンドメディア立ち上げ7ステップ!費用や事例、戦略も紹介!
YouTubeを使ったプロモーション
YouTubeを使用したプロモーションは、近年注目度が増しています。全世界におけるYouTubeの総動画試聴時間は10億時間以上に上り、これからもその数は伸びていくと予想されています。
YouTubeは、ほかのSNSとの相性も良く動画へのリンクがSNS上で拡散されるといったことが頻繁に起きています。動画ベースの媒体なので、具体的に製品やサービスを紹介することに向いています。近年では、自動翻訳機能も発達しているので、海外に向けても比較的容易にプロモーションを行うことができます。
テレビCMによるプロモーション
テレビという媒体は、放送法によって厳しくルールが規定されており、公共の電波を通じて発信されるため、メディアとしての信頼度が高いのが特長です。そのため、テレビCMによるプロモーションは、ほかの媒体と比べて信用を得やすいといった効果があります。
情報の信用性は、プロモーションの効果を期待する上で、重要なポイントとなるので、利用するのもひとつの手でしょう。
また、テレビCMの特長として、短時間である、繰り返し流される、ビジュアルに訴えかけるといったものがあるため、顧客の印象に残りやすい媒体だといえます。
テレビCMは、ほかの媒体と比較して導入費用が割高な分、プロモーションで得られる効果も高くなるため、積極的に利用している企業もあります。
コラボレーションによるプロモーション
プロモーション活動には、コラボレーションという手法があります。既存の企業やキャラクター、製品などとコラボレーションを行うことで、さまざまな効果を得ることができます。
まずは、コラボ先の顧客を自社へと誘導できるという点です。新規顧客の獲得は、企業にとって重要なポイントとなりますが、すでにある程度の顧客を抱える相手先とコラボすることによって、互いの顧客が流動し合うというメリットがあります。
コラボする相手には、意外性を持たせたり、ネタ性を持たせたりするなどすることで話題作りをするのもプロモーションの効果を最大限に発揮するポイントとなります。
コラボレーションは、一見利点だらけのように見えますが、戦略を立てていないと企業のイメージがぶれてしまうことがあります。そういったリスクを抱えながらも、積極的にコラボすることで、新しいことに挑戦するという空気が生まれ、ブランドを活性化することにつながります。
また、他社と協力してひとつのものを作り上げる過程で、自社を客観的に見つめ直すきっかけともなります。コラボレーションの過程を共有することで、一体感も生まれ相乗効果を期待できるのも、利点のひとつです。
イベント開催によるプロモーション
イベントプロモーションとは、企業がイベントを開催し自社商品・サービスの宣伝を行うことです。
例えば以下のようなイベントが該当します。
・展示会・展示販売会 ・講演会 ・セミナー ・周年記念イベント ・セレモニー ・商品やサービスの体感イベント ・フードイベント ・音楽イベント など |
イベント開催には、告知など手間が掛かるデメリットがあります。しかし、イベントプロモーションではユーザーの反応をリアルタイムに感じ、直接的にアピールできます。自社から発信するのみのプロモーションとは異なる、イベントプロモーションならではの強みです。
また、オフラインでもオンラインでも行える開催方法の自由さも、イベントプロモーションのメリットのひとつといえます。
プロモーションの効果測定方法
プロモーション効果を測定するには、実際にプロモーションに取り組む前段階も重要です。効果測定方法を、以下の流れに沿って詳しく解説します。
1.プロモーションの目的を決める
2.KGIおよびKPIを定める
3.プロモーションを行う
4.調査・分析し効果検証を行う
プロモーションの目的を決める
まずプロモーションに取り組む前に、なぜプロモーションに取り組むのか、プロモーションを実施することでどうなりたいか目的を決めることが重要です。
ニーズが多様化するなかで目的が曖昧なままプロモーションを行っても、目的と方法がずれ、思うような結果が得られない可能性が高いからです。
目的の具体例は、ウェブサイトのアクセス数を増やしたい、SNSのフォロワーを増やしたい、会員数を増やしたいなどが挙げられます。
また、目的を決めるときはターゲットも定めると良いでしょう。
・学生など若者向けであれば、SNSやYouTubeを活用する ・幼い子どもがいるファミリー向けであれば、子どもに人気のキャラクターとコラボする |
目的とあわせてターゲットを決めておけば、ある程度プロモーション方針を固めるのに役立ちます。
KGIおよびKPIを定める
目的を決めたら、その目的を達成するための指標を明確にします。KGIでは最終目標、KPIは中間目標をそれぞれ定めましょう。
KGIやKPIは何を、いつまでに、どうするかを数値にしてはっきり決めることが重要です。
例えば「ウェブサイトのアクセス数を増やしたい」ではなく「ウェブサイトの1カ月間のアクセス数を、6カ月後までに、15%増加させる」などです。指標を数値にすることで、効果がどの程度あったのかを検証できるようになります。
プロモーションを行う
目的やKGI・KPIを定めたら、実際にプロモーションを行いましょう。プロモーションは、これまでに定めた目的や指標を意識して実施することが重要です。
例えば、SNSで学生のフォロワーを増やすことが目的なのに、平日日中に投稿しては目に留まらず流れてしまいます。そのため、目的・指標に適した時間帯にSNS投稿を行うなどの工夫が必要です。
調査・分析し効果検証を行う
最後に、プロモーションを実施したら効果検証を行います。効果検証の結果を、次の戦略策定に役立てるためです。
プロモーション効果の調査・分析には以下のような方法があります。調査・分析は、プロモーションの目的ごとに適した手段で取り組みましょう。
ROI(投資収益率) | ・利益向上を目的としたプロモーションに有効 ・投資によっていくらの利益が出たかを計算する ・ROIは「利益額÷投資額×100(%)」で算出可能 ・ROIが高いほど効果があったということになる |
アクセス解析ツール | ・ウェブサイトへのアクセス増加を目的としたプロモーションに有効 ・アクセス解析ツールをもちいて、ウェブサイトへのアクセス数や、流入元などを分析する ・ツールにはGoogle Search Console(Google 検索結果でのサイトの掲載順位を監視、管理、改善するのに役立つ Google の無料サービス)や、Googleアナリティクスなどがある |
売上データ | ・販売促進を目的としたプロモーションに有効 ・プロモーション前後の売上データを比較する ・どんなタイミングで売上が上がったか、いつ下がったかを確認するのも良い ・競合他社の新製品発売日に自社商品の売上がどうなったかも分析に役立つ |
アンケート | ・ユーザーからの認知度確認や意識調査に有効 ・ユーザーにアンケートを実施する ・ウェブ媒体でのアンケートは、時間や場所を問わず行える |
また、プロモーションは実施したらすぐに結果が出るというわけではありません。目標達成に向けて効果検証を繰り返し行うことが大切です。
プロモーション効果を高める上で重要な「4P」とは
「4P」とは、マーケティングミックスと呼ばれるマーケティングを行う上で重要なフレームワークを指します。
4Pは以下の頭文字であり、プロモーションは4Pの内のひとつです。マーケティングにおいて、この4つのバランスが肝心だとされています。
Product (商品・サービス) |
・自社が提供する商品やサービスのこと ・どういった機能や品質、デザイン、サービスが求められているのか、ユーザーのニーズを汲むことが重要 ・商品購入後の保障もProductに入る |
Price (価格) |
・商品を提供する価格のこと ・商品のターゲットや市場の状況、他社の状況を加味して設定する ・自社がいくらの利益を得たいかも考慮する必要がある |
Place (流通) |
・商品を売る場所、流通経路のこと ・店舗販売やオンラインショップ、データのダウンロード販売などが挙げられる ・商品を届ける際の物流に関してもPlaceに該当する |
Promotion (プロモーション) |
・宣伝や広告販促のこと ・ユーザーに自社や商品・サービスを知ってもらうほか、購入につなげるまでをPromotionで行う ・良い商品を作ってもユーザーに知られず、購入したいと思ってもらわなければ意味がないため、Promotionは重要である |
プロモーションで効果を得たいなら、プロモーション以外の3Pの要素も理解しておきましょう。ユーザーのニーズを満たす商品の提供、手に取りやすい価格設定、入手しやすい販売店であることも意識するようにしてください。
プロモーションの成功事例
ここでは、プロモーションの成功例について、具体的な例を挙げ紹介していきます。この機会に、企業から、自治体に至るまでのさまざまな分野で利用されているプロモーションと、その効果について知っておきましょう。
具体的には佐賀県、伯方塩業株式会社、江崎グリコ株式会社といった、それぞれまったく違った企業についてみていきます。どのプロモーションにも共通しているのは、SNSを使用したことで、絶大な効果を得たという点です。
どのようにプロモーション活動に使用され、どのように消費者に対して浸透したのかを紹介していきます。これらを理解することで、プロモーション成功における必要事項やエッセンスを理解できるのではないでしょうか。
プロモーション成功において、まずは成功したケースを理解することが非常に重要です。
コラボレーションで地方創生(佐賀県)
プロモーションの効果は、地方創生といった分野にも活かされています。具体的な例として佐賀県で行われたプロモーション活動を紹介します。佐賀県では、「サガプライズ!」というプロジェクトを発足し、企業やブランドとコラボすることで、集客に成功しました。
佐賀県の名産品であるイカと、ゲームの主人公がイカである「スプラトゥーン」を掛けて、魅力を発信していくコラボは話題となり、イベント開催日には1万人ほどの集客を成功させました。呼子というエリアで開催されたこの集客人数は、同エリアの人口の2倍に当たります。
コラボを提案した佐賀県だけでなく、コラボ相手のゲームの双方にメリットがもたらされたことで話題となりました。
出典:PROJECT 010 スプラトゥーン|佐賀県
SNS上のオーディションで話題化(伯方塩業株式会社)
伯方塩業株式会社は、特徴的なCMソングで広告を行なってきた企業ですが、声優の二代目オーディションをSNS上で開催し、注目を集めました。Xなどを使用してオーディション募集のプロモーション活動を行ったところ、関連の投稿が1万件以上されました。
ネット上で、話題を集めたことでテレビなどのメディアでも取り上げられ、結果として大きな効果、反響を得ることに成功しました。
一連のオーディションを参加型にしたことで、幅広い消費者に興味を持ってもらいやすくしたというのが、伯方塩業株式会社のプロモーションの特長です。
出典:伯方の塩® | 伯方塩業株式会社
自社独自のキャンペーンで世界記録達成(江崎グリコ株式会社)
江崎グリコ株式会社は、同社の販売製品であるポッキー、プリッツの形状にちなんで、11月11日を「ポッキー&プリッツの日」と制定し、プロモーション活動を行いました。
同日に、X上で「ポッキー」と投稿することをユーザーに促し、その投稿数で世界記録を狙うというキャンペーンを実施しました。プロモーションの効果は絶大で、目標の200万ツイートを大幅に超える371万44ツイートの世界記録を達成しました。
また、SNS上だけでなく、「ポッキーロケットプロジェクト」というプロジェクトでは、ポッキーの形状を模したロケットを打ち上げ、その様子を生中継することで、多方面からプロモーション活動を盛り上げました。
出典:江崎グリコ(Glico)|江崎グリコ株式会社
まとめ
プロモーションは、自社商品やサービスの認知度向上・販売促進に欠かせない活動です。SNSやYouTube、テレビCM、コラボレーション、イベント開催など、さまざまな手段で取り組めます。 しかし、プロモーションはすぐに目に見えて結果が出てくるものではありません。目的や指標を定め、繰り返し効果測定を行ってプロモーション活動に取り組みましょう。