オウンドメディアを外注するメリットとは?注意点や費用相場も解説

オウンドメディアの運営は、自社の認知度を高め、売上向上を目指すための重要なマーケティング手法のひとつです。自社での制作や運営にリソースの限界を感じ、外注するか悩んでいる企業担当者の方も多いのではないでしょうか。 本記事では、オウンドメディア業務の外注範囲や得られるメリット、注意すべきポイント、費用相場について解説します。また、外注先を選定する際のポイントや、外注を成功させるためにすべきことも掘り下げます。

何を外注する?オウンドメディアに関する業務を整理しよう!

オウンドメディアの外注をスムーズに行うためには、外注可能な業務の全体像を理解することが重要です。以下に、主な外注可能な業務をまとめます。

業務 内容
オウンドメディアの立ち上げ ・目的や運営方針などの戦略の策定
・サイトの構築
・デザインの企画・作成
コンテンツの企画・作成 ・キーワード選定
・記事のテーマやターゲットの決定
・トンマナに合わせた記事の執筆
・動画や画像の作成
効果分析 ・サイトや各コンテンツのパフォーマンスを分析
・Google Search Console(※)などのツールの使用
運用のコンサルティング ・運用に関する課題の抽出
・コンテンツなどの改善策の提案
運用の内製化支援 ・自社での制作に対するアドバイス
・専門的なノウハウの共有

※Google 検索結果でのサイトの掲載順位を監視、管理、改善するのに役立つ Google の無料サービス

オウンドメディアの立ち上げや運営には多くの工程が交わりますが、業務委託(外注)によって、効率的に進めることが可能です。

また、コンテンツ制作だけでなく、サイト設計やSEO対策、SNS運用、アクセス解析といったさまざまな業務をすべて外注することも可能です。

自社リソースを考慮し、どの部分を自社で担当し、どの部分を外注するかを事前に整理しておくことで、無駄のない外注ができるでしょう。

オウンドメディアの業務を外注するメリット

オウンドメディアを外注するメリットは、以下のとおりです。

・マーケティングの知見に基づく運用支援を受けられる
・社内のリソースを節約できる
・コンテンツ制作のスピードを加速できる
・専門的なコンテンツ制作を依頼できる

それぞれ詳しくみていきましょう。

マーケティングの知見に基づく運用支援を受けられる

オウンドメディアの業務を外注することで、専門的なマーケティングの知識を生かした支援を受けられます。特に、SEO(検索エンジン最適化)などのデジタルマーケティング分野は、日々進化しており、自社で常に最新の情報に基づいて対応するのは難しい場合があります。

例えば、Googleの検索アルゴリズムは高頻度で更新されており、検索上位を維持するためには新しい施策に迅速に対応する必要があります。これを専門的に扱う外注先は、アルゴリズムの変更に即応できるため、継続的なSEO対策を効率的に進めることができます。

また、マーケティングにおいては、ターゲットのニーズを的確に捉えたコンテンツ制作や、データ分析に基づいた効果的な施策が求められます。外注することで、自社リソースでは手の届かない高度な施策を取り入れることが可能です​。

社内のリソースを節約できる

オウンドメディアを外注することで、社内のリソースを大幅に節約し、製品開発や顧客対応などの重要な業務に集中できます。

オウンドメディアの運営にはコンテンツ制作やSEO対策、効果分析など多くの作業があり、必要なリソースが膨大です。

実際に多くのオウンドメディア担当者が、コンテンツ制作のリソース確保に悩まされています。株式会社宣伝会議の「オウンドメディア活用に関する調査2024」では、オウンドメディアの担当者が課題に感じていることとして、以下の項目が上位に挙がりました。

課題に感じていること 割合(複数回答可)
コンテンツ数の維持 58.1%
制作の効率化 49.6%
コンテンツ制作の人材不足 48.7%

オウンドメディア運営を始めると、上記のような悩みが出てくることが想定できます。オウンドメディアの外注を通じて、リソース不足の問題を解決可能です。

出典:<オウンドメディア実態調査>8割「オウンドメディアの効果」を実感するも「コンテンツ数の維持」は課題|PR TIMES

コンテンツ制作のスピードを加速できる

コンテンツ制作を外注することで、制作スピードが向上し、短期間で多くのコンテンツを制作できます。自社のリソースだけでコンテンツを制作する場合、作業量やスタッフ数の限界があり、オウンドメディアの拡大に時間を要します。

外部の会社やライターを活用すれば、定期的な更新が必要なブログや商品紹介ページなど、量が必要なコンテンツをスムーズに制作可能です。

立ち上げ時に制作を早められれば、PDCAサイクルも早く回せます。結果として、コンテンツ制作と改善のスピードが向上して、オウンドメディアの成長も加速できます

専門的なコンテンツ制作を依頼できる

オウンドメディアを外注することで、専門的な知識に基づいた高品質なコンテンツを制作できます。

専門性の高い会社にコンテンツ制作を依頼すれば、自社では最新の知識をカバーしきれない専門的な内容にも対応可能です。特に、医療や法律などの分野では、誤った情報が重大な事故につながる可能性があるため、より一層の正確性が求められます。

外注して品質の高いコンテンツを制作することにより、オウンドメディアの信頼性が高まり、他社との差別化にもつながります。

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オウンドメディアの外注に関して注意したいこと

オウンドメディアの外注に関して注意したいことは、以下のとおりです。

・自社制作よりも費用がかかりやすい
・自社にナレッジが溜まりにくい

それぞれ詳しくみていきましょう。

自社制作よりも費用がかかりやすい

オウンドメディアを外注する場合、専門的な知識やリソースが得られる分、自社制作よりも費用が高くなる傾向があります。

また、外注したからといって必ずしも期待どおりの成果が得られるとは限りません。結果としてコストパフォーマンスが悪くなる場合もあります

SEO対策やコンテンツ制作にかかる外注費用は、オウンドメディアの規模や依頼する業務範囲に応じて大きく変わります。そのため、費用対効果を見極めながら、自社に合った外注範囲を検討することが重要です。

自社にナレッジが溜まりにくい

例えば、オウンドメディアに掲載する、コンテンツSEOの制作を外注すると、社内での制作経験が少なくなるため、自社にナレッジ(経験に基づく専門知識)が溜まりにくくなります。

社員がコンテンツ制作に関わる機会が減り、SEOやマーケティングの知識を習得するチャンスが減ってしまうからです。

また、外注先の都合でサービスが停止した場合や、費用面で契約が継続できなくなった際に、自社で制作を引き継ぐのが難しくなります。

将来的にオウンドメディアの運営を内製化したいのであれば、内製化支援を行っている外注先を選ぶこともひとつの解決策です。

オウンドメディア外注費用の相場

オウンドメディアの外注費用は、依頼する業務の範囲やメディアの規模によって大きく異なります。ここでは、構築費用と運用費用に分けて相場を紹介します。

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オウンドメディア構築における外注費用

委託内容 費用相場
メディアの戦略設計 10万~600万円
デザイン制作やコーディング 15万円~200万円
コンテンツ作成 記事:1万円~数10万円/1本
動画:10万~50万円/1本

オウンドメディアをゼロから作り上げていく際にかかる費用です。上記のように、メディアの規模やオリジナリティの高さによって金額は大きく変動します。

オウンドメディア運用における外注費用

委託内容 費用相場
サーバー・CMSの保守や管理 月額1万~5万円
現状分析や改善の提案 月額5万円~20万円

一方、運用費用は、オウンドメディアを継続的に維持・管理していくために発生する費用です。特にサーバーの保守などには、毎月一定の費用がかかることになります。

なお、上記の費用はあくまで目安です。会社やプロジェクトの規模によって大きく変動する点に注意する必要があります。

オウンドメディアの外注先を選ぶポイント

オウンドメディアの外注先を選ぶポイントは、以下のとおりです。

・自社の業界やサービスに関連する実績があるかを確認する
・テストを通じてコンテンツの質を入念に確認する
・複数の外注先の費用を比較して相場を見極める

それぞれ詳しくみていきましょう。

自社の業界やサービスに関連する実績があるかを確認する

質の高いオウンドメディアを構築するためには、自社の業界やサービスに関連する実績のある外注先を選ぶことが重要です。

オウンドメディアを運営する際には、業界ごとの専門知識やノウハウが求められます。例えば、医療業界では正確な医学用語の使用や広告規制に関する理解が必須です。

外注先がその分野に精通していなければ、誤った情報や不適切な表現が含まれた低品質なコンテンツが公開されるリスクがあります。これは、信頼性の低下や法規制違反にもつながる可能性があるため、外注先の選定には注意が必要です。

そのため、自社の業界や類似分野で成功事例を持つ外注先を選ぶことが重要です。成功事例が豊富な外注先であれば、これまでの経験を活かして、的確かつ高品質なコンテンツを提供することが期待できます。

そのため、外注先の実績は、ホームページや公開されている支援事例から確認できるので、事前にしっかりとリサーチを行うことが大切です。

テストを通じてコンテンツの質を入念に確認する

オウンドメディアを外注する際には、事前に外注先のコンテンツの質をテストすることが非常に重要です。

このテストを行うことで、納品物の品質や進行管理の問題を未然に防ぐことができます。具体的には、記事コンテンツの執筆を依頼し、文章力や業界への理解度が自社の基準に合致しているかを確認します。

さらに、この過程でコミュニケーションのスムーズさやスケジュール管理能力もチェックでき、契約後のトラブルを回避しやすくなります。

テストとしては、少量のコンテンツ制作をまず依頼し、その質や対応力を細かくチェックすることが有効です。

複数の外注先の費用を比較して相場を見極める

オウンドメディアの外注先を選ぶ際には、複数の会社から見積もりを取り、費用とサービス内容を比較することが重要です。

1社だけの見積もりでは、適正価格かどうかを判断しづらいため、他社の見積もりと比較することで市場相場を把握し、選定の基準を明確にすることができます

例えば外注費が高すぎる会社を選ぶと、投資に対するリターンが低くなる可能性があります。

一方で、価格が安すぎる場合は、品質や納期に問題が発生しやすいため注意が必要です。

安価なサービスを選ぶ際には、具体的にどの部分でコストが削減されているのか、またその影響がコンテンツの質や納期に及ぶ可能性がないかを慎重に確認することが大切です。

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オウンドメディアの外注を成功させるために自社ですべきこと

オウンドメディアの外注を成功させるために自社ですべきことは、以下のとおりです。

・納品物を自社でチェックできる体制を整える
・外注先との連携を強化しながら制作を進める

それぞれ詳しくみていきましょう。

納品物を自社でチェックできる体制を整える

オウンドメディアの外注を成功させるためには、自社内でのしっかりとしたチェック体制を整えることが不可欠です。

外注先が信頼できるとしても、最終的に自社の基準に合致しているか、そして自社のターゲット層に適した内容かどうかを判断するのは自社の役割です。

例えば、納品された記事がターゲットの関心や好みから外れている場合、そのまま公開するとブランドイメージを損なうリスクがあります。

このようなリスクを回避するためには、あらかじめ自社内で明確な基準を設け、納品物をダブルチェックするプロセスを確立しておくことが重要です。

基準を具体的に定め、ターゲット層のニーズやブランドイメージに沿った内容であるかを確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、納品物をチェックする担当者を確保し、必要な修正を依頼できる体制を整えることで、外注先との円滑なコミュニケーションと成果の向上につながります。

外注先との連携を強化しながら制作を進める

オウンドメディアを成功させるためには、外注先との連携を強化しながら制作を進めることが非常に重要です。

外注先が豊富な知識やスキルを持っていたとしても、自社のレギュレーションを正確に伝えなければ、期待通りのコンテンツを作成することが難しくなるからです。

自社の意図をしっかりと反映させるためには、以下のような取り組みを積極的に行いましょう。

・自社の指示書やマニュアルを提供する
・ミーティングや進捗報告のスケジュールをこまめに設定する

外注先との密接なコミュニケーションにより、双方の理解が深まり、万が一問題が発生しても迅速に解決できる環境が整います。

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まとめ

オウンドメディアを外注することで、専門的な知見に基づく支援が得られて、社内のリソースも節約できるなど幅広いメリットがあります。

一方、外注にともなうコストの増加や品質のばらつきの可能性があるため、外注先選びは慎重に行う必要があります。外注先を選ぶ際には、自社に関連する実績を確認しつつ、複数社に見積もりを取って費用相場を見極めることが重要です。

自社に合った外注先を見つけて、オウンドメディアの制作・運営を成功させましょう。