【目標設定】オウンドメディアのKPIは?指標の具体例や手順を紹介

オウンドメディアを運営する上で、目的の達成に向けた進捗状況や改善点などを分析するためには、KPIの設定が重要です。一方で、メディア運営の担当者のなかには「設定すべきKPIの例や具体的な設定方法が分からない」と悩む方もいるでしょう。 本記事では、オウンドメディアで設定するKPIや設定手順、フェーズごとのKPIの例などを解説します。

オウンドメディアで設定するKPI

オウンドメディアで設定すべき主なKPI(重要業績評価指標)には、以下の5つが挙げられます。

・コンテンツ数
・ページの閲覧数・訪問数
・検索順位
・送客数
・コンバージョン数

それぞれの重要性や設定のポイントなどをみていきましょう。

コンテンツ数

オウンドメディアでまず設定したいKPIのひとつが、制作する記事や特集ページなどのコンテンツ数です。

コンテンツ制作のペースを示す数値でもあるため、メディア運営計画の進捗状況の把握が可能です。定期的に記事を発信するために、月間・四半期・年間などで期間を区切って設定すると良いでしょう。

コンテンツの配信・投稿数が多いことは、定期的に新しい情報を提供していることを意味します。ユーザーにとって飽きの来ないオウンドメディアを作るためには、コンテンツを継続的に発信することが重要です。

ただし、数量だけに焦点を当て、コンテンツの質が伴わなければ、ユーザーにとって有益なメディアにはなりません。質の高い、関連性のあるコンテンツを定期的に提供することで、訪問者の関心を引き、エンゲージメントを高めることができます。

ページの閲覧数・訪問数

ページの閲覧数・訪問数を把握するためには、以下のようなKPIを設定します。

KPI 概要
PV数 ・ユーザーによるページの閲覧回数
・ユーザーがページを閲覧する度にカウントされる
・ページ単位での人気・不人気などを把握できる
UU数 ・一定期間内にサイトを訪問したユーザーの数
・同じユーザーが期間内に何度訪問してもカウントは1となる
・訪問したユーザー数を正確に把握できる
セッション(SS)数 ・一定期間内にユーザーがサイトを訪問した回数
・同じユーザーが期間内にサイトを訪問する度にカウントされる
・ユーザーがサイトを訪問する頻度を把握できる

これらをKPIに設定すれば、オウンドメディアの成長度合いや認知度を定量的に把握できます。

各指標が示すユーザーの行動は異なるため、目的に応じて適切な指標を使い分けることが重要です。例えば、PV数やSS数を効果的に活用すれば、ユーザーの流入状況や行動を多角的に分析できます。

もし、リピーターを増やしたい場合には、SS数(セッション数)に注目するなど、オウンドメディアの方針に応じたKPIを設定することが求められます。

検索順位

オウンドメディアの流入経路として、SEO(検索エンジン最適化)を活用したオーガニック流入がほとんどであるため、特定のキーワードで検索した際の検索結果での順位をKPIに設定することは非常に重要です。

検索順位をKPIに設定することで、オウンドメディアの集客力を把握するだけでなく、公開した記事の品質や競合との優劣を分析できます。

検索順位は検索エンジンの独自アルゴリズムに基づいて決定され、アルゴリズムのアップデートや検索意図の変化などにより変動します。

そのため、定期的に順位の変動を確認し、必要に応じて記事のリライトやSEO施策を行うことが大切です。

送客数

送客数とは、LPやサービスサイトなど、最終的にユーザーに訪れてほしい目標ページへの流入数のことです。

目標ページは、自社への問い合わせや会員登録、商品・サービス購入など、最終的な成果を上げるために作成されます。

目標ページにアクセスしたユーザーの数を把握することで、集客から成約に至るまでの導線が正しく機能しているかどうかを判断することができます

コンバージョン数

オウンドメディアで獲得を目指すコンバージョン数も、設定すべきKPIの一つです。

コンバージョン数を把握することで、オウンドメディアの運営目的がどれほど達成できているかを確認できます。具体的には、問い合わせ数、資料ダウンロード数、商品・サービスの申し込み数などが、コンバージョン数の指標として挙げられます。

オウンドメディアのKPIを設定する手順

オウンドメディアのKPIは以下の手順で設定しましょう。

1.KGIを設定
2.KPIツリーを作成
3.KPIの妥当性をチェック

各手順のポイントを解説します。

1.KGIを設定

KPIを設定するには、まずオウンドメディアが最終的に達成すべき目標であるKGI(重要目標達成指標)を明確に言語化しましょう。

KPIは、KGIを達成するために設定する中間目標です。そのため、KGIから逆算してKPIを設定する必要があります。代表的なKGIとしては、「成約数」「商談数」などが挙げられます。

KGIを設定することで最終的なゴールが明確になり、そのゴールに到達するために必要な具体的なアクションが見えてきます。

2.KPIツリーを作成

次に、KGIを達成するために必要な要素を洗い出し、KGIを頂点にしたツリー状にしてKPIを可視化しましょう。KPIを明文化することで、施策の抜け漏れを防げるだけでなく、チーム内で認識を統一しやすくなります。

KPIツリーを作成する際には、上位から下位にかけて論理的に分解していくことが重要です。上下のつながりが曖昧だと、KPIツリーの精度が低くなります。上位と下位の関連性が明確であることを意識しながら、KPIツリーを作成しましょう。

例えば、KGIが「成約数」の場合、まず「問い合わせ数」や「問い合わせ後の成約率」などをKPIに設定します。さらに「問い合わせ数」を分解し、「送客数」「問い合わせフォームの閲覧数」「問い合わせフォームの入力完了率」など、より具体的なKPIを下位に設定することができます。

3.KPIの妥当性をチェック

最後に、設定したKPIの具体性やKGIとの関連性などを考慮し、妥当な数値かチェックしましょう。KPIを適切に設定することで、目標達成に向けていつまでに何をすべきかが明確になります。

KPIの妥当性をチェックするには、以下のSMARTの法則を活用するのがおすすめです。

項目 概要
Specific(具体的) 具体的な目標を示しているか
Measurable(計測可能) 数値の計測が可能か
Achievable(達成可能) 現実的な範囲で達成できるか
Relevant(関連性) オウンドメディアのゴール(KGI)と関連性があるか
Time-bounded(期限) 期限があるか

例えば、KPIが「問い合わせ数の増加」と抽象的な場合、具体的な施策や行動につながりません。

「20××年○月〜○月の期間に、オウンドメディア経由の問い合わせ数を現状より○件増加」のように、期限と目標の数値が明確なKPIを設定しましょう。

オウンドメディアのKPIはフェーズごとに変える必要がある

オウンドメディアはフェーズによって現実的に達成できる目標が異なるため、メディアの状況に応じたKPI設定が必要です。

特にオウンドメディアは効果が現れるまでに半年〜1年程度かかることが多いです。

例えば、立ち上げ初期の段階では、まずオウンドメディアの運用目的の決定や、必要な人員(ライターやデザイナーなど)の確保、年間スケジュールの策定など、基盤作りを行うことが重要です。

このような準備段階で設定するKPIは、進行中のプロセスに焦点を当て、メディアの成長を見据えたものにする必要があります。

実際の運用開始後にはどのようなKPIを設定すれば良いのか、フェーズごとに詳しくみていきましょう。

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【初期のKPI】コンテンツ数の増加を目指す

初期(オウンドメディア運用開始から1年ほど)には、コンテンツ数を主なKPIに設定し、集客の土台作りを行いましょう。

コンテンツ数が少ないと、ユーザーや検索エンジンからの評価を得にくくなるため、まずは良質なコンテンツを蓄積することが必要です。月間の記事作成数や公開数などをKPIに設定し、コンテンツの充実に注力しましょう。

コンテンツ数が増えてきた段階では、PV数や検索順位といったメディアの成長度合いを示す数値に重心を移し、次のステップに進みます。

【中期のKPI】集客力の向上を図る

中期(オウンドメディア運用開始から1年~1年半ほど)にはコンテンツが充実してきているため、流入数増加やコンテンツの質の改善などを意識しましょう。

具体的には、PV数・UU数・SS数、検索順位といった集客力を評価するKPIを設定します。あわせて、ページの滞在時間や回遊率などを把握すれば、サイト内でのユーザー行動の分析に役立てられます。

流入状況やユーザー行動の分析には、Google Search Console(Google 検索結果でのサイトの掲載順位を監視、管理、改善するのに役立つ Google の無料サービス)やGoogle Analyticsなどのツールを活用するのがおすすめです。

流入状況やユーザー行動をもとにコンテンツの課題を抽出し、質を向上させるための施策を実施しましょう。

【後期のKPI】目標の達成度合いを重視する

後期(オウンドメディア運用開始から1年半以上)には十分な流入数が見込めるようになるため、最終的な目標(KGI)に直結するKPIを設定します。

オウンドメディアのコンバージョン数や、コンバージョンに寄与する目標ページへの送客数などをKPIに設定して、必要な施策を講じましょう。

流入数が確保できているのにコンバージョン数や送客数が伸び悩んでいる場合は、改善策を講じる必要があります。

例えば、オウンドメディアのなかにキラーコンテンツを積極的に追加すると良いでしょう。具体的には、自社商品に関するお客さまの声や他社商品との比較記事などが挙げられます。

さらに、ユーザーに問い合わせや購買行動を促すボタンの設置箇所を見直したり、既存の記事をよりユーザーニーズにあった内容へリライトしたりすると効果的です。

まとめ

オウンドメディアのKPIは、KGIから逆算して設定することが大切です。KPIツリーを活用し、オウンドメディアの最終目標に向けて何をすべきかを意識しながら、具体的な数値を設定する必要があります。

また、オウンドメディアのフェーズによって妥当なKPIは異なります。フェーズにあわせた現実的なKPIを設定し、効果測定と改善を繰り返してKPI達成を目指しましょう。