オウンドメディアマーケティングとは?概要やメリット、具体策を紹介

オウンドメディアは、マーケティング手法のひとつとして注目されています。自社でも取り入れたいものの、詳しいことが分からない企業担当者の方もいるのではないでしょうか。 本記事では、オウンドメディアマーケティングの概要やメリットを解説します。また、具体策や実際の成功事例も紹介します。 自社がオウンドメディアを制作すべきか判断し、具体的な成功イメージを持てるよう、ぜひ最後までご覧ください。

オウンドメディアマーケティングとは何か?

オウンドメディアマーケティングとは、オウンドメディアを活用し、広告費用を抑えつつ売上向上やブランド強化ができるマーケティング戦略です。主に自社が運営するブログやECサイト、ウェブマガジンなどを活用します。

自社以外のメディアを用いるマーケティング手法と異なり、自社が主体となってメディアの作成から運用、効果測定まで行える点が特徴です。

なお、オウンドメディアはマーケティング業務で注目される「トリプルメディア」のひとつでもあります。オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアの総称で、それぞれの違いは以下のとおりです。

項目 概要
オウンドメディア 自分で所有(オウンド=Owned)、運営するメディア
ペイドメディア 企業が広告料を支払い(ペイド=Paid)、広告を掲載するメディア
アーンドメディア SNSのようにファンを獲得(アーンド=Earned)できるメディア

マーケティングでは、上記のトリプルメディアをうまく連携させることが重要とされています。

オウンドメディアをマーケティングに活かすメリット

マーケティングの一種としてオウンドメディアを活用するメリットは、主に5つあります。

・多くの見込み顧客と接触する機会をつくれる
・自社のブランディングを強化できる
・コンバージョンの増加につながる
・集客のコストカットにつながる
・オウンドメディア自体が自社の資産になる

それぞれ詳しくみていきましょう。

多くの見込み顧客と接触する機会をつくれる

自社の商品・サービスの見込み顧客と接する機会を多くつくれます。オウンドメディアを通じて有益な最新情報を発信することで、特定のキーワードで検索してきた新規ユーザーが流入してくる可能性が高まるからです。

特に、自ら検索しアクセスまで至ったユーザーは、初めから商品・サービスを知っていたり、関連する悩みを持っていたりすることがほとんどです。そのため、検索流入してきたユーザーに対して自社を的確に訴求すれば、新規顧客となる可能性は高いといえます。

自社のブランディングを強化できる

ユーザーに「この企業は役に立つ情報を発信してくれる」と思ってもらえれば、その状態は他企業と差別化=ブランディングされているといえるからです。

また、オウンドメディアにてユーザーへ役立つ情報を発信し続けていると、企業や商品を気に入ってファンになるユーザーもいます。ひとつの商品だけではなく、企業自体のファンを獲得し、愛着心を高められる点もメリットです。

ユーザーの愛着心が高まると、商品の長期契約獲得などの成果につながります。

コンバージョンの増加につながる

オウンドメディアで自社の商品・サービスを訴求すれば、新規・既存顧客のいずれもコンバージョン(ユーザーが購入など利益につながるアクションをすること)の増加が期待できます。

オウンドメディアは自由度が高く、コンテンツの作成やユーザーへの訴求などさまざまな用途で活用可能です。

例えば新規顧客のコンバージョン増加を狙う場合、オウンドメディアから会員登録すれば割引クーポンをプレゼント、と宣伝するなどです。自社の顧客の購買行動を分析し、顧客に合った工夫をすることで、訴求の効果を高められます。

そのほか、自社の知見を活かした専門的なコンテンツの作成など、コンバージョン獲得に向けた自社ならではの施策を講じられます。

関連記事:コンテンツマーケティングとは?8つの手法・実践事例をわかりやすく解説

集客のコストカットにつながる

トリプルメディアのひとつのペイドメディアである広告を利用して、集客をする企業も多いです。しかし、ペイドメディアという名前のとおり、広告出稿時はもちろん、出稿している間も継続的にコストがかかります。

反対にオウンドメディアは自社で運営しているため、運営のリソースは必要なものの、毎回の大きなコストをかけずに集客が可能です。単月でみれば小さな差であったとしても、長い目でみれば大きなコストカットにつながります。

オウンドメディア自体が自社の資産になる

自社の情報を発信する手段としてウェブ広告やコマーシャルなども有効ですが、一時的な発信です。対してオウンドメディアは、情報発信とともに記事や動画などのコンテンツを永続的に積み上げていける利点があります。

さらに、ユーザーが過去のコンテンツをさかのぼって見ることで、成果につながる場合もあります。公開してすぐに結果が出なくても、じっくり時間をかけてアクセスを集め、長期的な視点でメディアを育てることが可能です。

ただし、単にコンテンツを蓄積していくだけでは、古い情報だけの価値の低いメディアになってしまいます。定期的にアップデートする必要がある点には注意しましょう。

オウンドメディアマーケティングの具体策

 

オウンドメディアの具体的な作り方

オウンドメディアマーケティングの具体策として、以下の4つが挙げられます。

・ユーザーの疑問を洗い出しターゲットを設定する
・ターゲットが求める情報やサービスを考え抜く
・ユーザーの行動を意識したコンテンツ設計にこだわる
・制作・運営のため十分なリソースを確保する

それぞれ詳しく解説します。

ユーザーの疑問を洗い出しターゲットを設定する

ユーザーが求めていることがわからなければ、的外れの情報を発信してしまい、せっかくメディアに訪れたユーザーがすぐに離脱してしまいます。

そのため、ユーザーの疑問を洗い出し、具体的なターゲットを設定しましょう。ターゲットの設定により、そのターゲットが求める情報を提供するという、メディアの明確な方向性が定まります。ターゲットとして特定の1人のモデルを想定することを、マーケティング用語でペルソナの設定と呼びます。

ユーザーのニーズを調査するには、ユーザーが用いるキーワードで検索し、自動で表示される「サジェストキーワード」の活用がおすすめです。サジェストキーワードを見ると、具体的にユーザーはどんな疑問を持っているのかが分かります。

そのように、ユーザーが何に困っていて、何を検索しているのか把握し、オウンドメディアのペルソナをイメージしてみましょう。

ターゲットが求める情報やサービスを考え抜く

ターゲットとするユーザー層を念頭に、オウンドメディアでどのような情報やサービスを提供するのかを検討しましょう。

ターゲットが求める情報やサービスを検討していくと、自然とどのようなコンテンツが必要になってくるのか見出せます。

また、異なる段階にあるペルソナをイメージすると、その段階に合わせたコンテンツを作成可能です。例えば、まだ自社にまったく興味のない段階、興味はあるが購入はしていない段階など、段階に合わせたペルソナのニーズを考えます。

各ペルソナのニーズを満たす情報やサービスを提供できれば、より多くのユーザーの獲得が期待できます。

ユーザーの行動を意識したコンテンツ設計にこだわる

実際にコンテンツ作成を開始する前に、設定したペルソナをもちいてカスタマージャーニーを作成しましょう。カスタマージャーニーとは、ユーザーが情報を検索する時点から購入に至るまでの過程を示したものです。

そのように、カスタマージャーニーを活用すると、今後どのようなコンテンツが必要になるか、あらかじめ計画を立てられます。

そして、コンテンツ設計時には、KPIを設定するのもおすすめです。KPIとは、重要業績評価指標を意味し、オウンドメディア運営の場合、目標とする項目(商品の購入など)を達成するために、必要な経路を指します。

例えば、検索エンジンでのクリック数やウェブサイトの平均滞在時間などを設定できます。

コンテンツの効果を測定しながら、より成果が出るよう改善し続けることが重要です。

制作・運営のため十分なリソースを確保する

オウンドメディアの制作・運営には、十分なリソースを確保する必要があります。オウンドメディアの業務は戦略の策定やコンテンツ制作、サーバーの保守など幅広く、それぞれ専門的なスキルや知識が求められるためです。

例えば自社で制作・運営する際のリソースには、以下が挙げられます。

・マーケティングやデザインなど専門的な知識のある従業員の採用
・メディア立ち上げに関するスキルや知識を従業員に教育する時間
・大量のコンテンツを継続的に作成・更新するための人員確保

十分なリソースを自社で確保するのが難しい場合、外注を検討するのも選択肢のひとつです。

オウンドメディア制作を外注する場合、内容により外注費用が高額になる可能性はありますが、質の高いメディアを制作するための人的リソースを確保できます。

また、サービスによっては、制作だけでなくその後の運営も委託可能です。オウンドメディアは継続的なコンテンツの更新が重要であるため、外注すれば長期的にみて費用削減が見込めます。

関連記事:オウンドメディアを外注するメリットとは?注意点や費用相場も解説

オウンドメディアをマーケティングに活用した事例

オウンドメディアマーケティングは、さまざまな企業で取り組まれています。ここでは成功事例を3つ紹介します。

ユーザー目線で商品の魅力を訴求(株式会社カインズ)

株式会社カインズの「となりのカインズさん」は、ホームセンターカインズの商品や暮らしに関するアイディアを紹介しています。

商品の使い方・掃除の裏技・DIYのアイディアなど商品を購入するユーザー目線のコンテンツが強みです。

となりのカインズさんは「ホームセンターを遊び倒すメディア」をコンセプトにしています。

ホームセンターで購入できる製品を使用したものづくりなど、子どもも楽しめるコンテンツを多数展開。実際に製品を使用している写真や動画を豊富に掲載し、オウンドメディアを見ることでユーザーが自分も使ってみたいと感じる工夫がされています。

商品の魅力がユーザー目線で紹介され、自然とユーザーの購入意欲を高められているオウンドメディアです。

ユーザーの不安を取り除き問い合わせを促進(株式会社SAMURAI)

株式会社SAMURAIの「SAMURAI ENGINEER Blog」では、エンジニアを目指すIT初学者向けの基礎知識やITスクールの情報を掲載しています。

オンラインITスクールや、プログラミングスクールなどの受講者を増やすことがメディアの目的です。

SAMURAI ENGINEER Blogでは、学習前に必要となる情報や初心者向けIT知識の記事を多数公開し、ITに興味を持つユーザーに新規接触を図っています。

また、卒業生や実際にIT業界で働く人物のインタビュー記事などで、IT業界への不安を払拭できる設計がされています。

ユーザーの不安を解消して問い合わせなどにつなげることで、初心者のスクール受講を促しているオウンドメディアです。

顧客の声の掲載によりサービスの認知度向上(デジタルアスリート株式会社)

デジタルアスリート株式会社は、広告の運用代行やマーケティング戦略の立案などを通じて、企業のウェブ集客を支援しています。

オウンドメディアを活用する前には、新たに展開したデジタルマーケティングのリスキリング事業の認知に課題がありました。

そこで、課題を解消すべく実際の顧客の声をオウンドメディアに掲載しました。新規顧客に向け、自社がリスキリング事業に精通しているというブランドの確立を図ったためです。

結果として、顧客の声へのアクセス数が増加。オウンドメディアの活用を通じて、自社サービスの認知拡大につながった成功事例です。

出典:『お客様の声』から広がるサービス認知。キラーコンテンツの制作事例

まとめ

オウンドメディアのマーケティングには、見込み顧客の獲得やブランド強化、コンバージョンの増加など、さまざまなメリットがあります。

取り組みの成功に向けては、ターゲットの設定やユーザーの行動を意識したコンテンツ設計をしましょう。

オウンドメディア制作は自社でも行えます。一方、メディア運営に必要な費用のほか採用・教育の時間や費用もかかるため、リソース確保が難しい場合は外注するのもひとつの手です。

オウンドメディアを活用してマーケティングに成功した企業は多くあります。成功事例を参考にして、自社に合った戦略を立案しましょう。