目次
中古ドメインとは
中古ドメインとは、個人や企業などの第三者が過去に使用していたドメインのことです。オールドドメインとも呼ばれています。
例えば、本コラムのドメイン(mchs.co.jp)のWebサイト運営をやめて契約解除すると、運用歴があるため「中古ドメイン」になります。一方、過去に運用歴のない新しいドメインを発行する場合は「新規ドメイン」と呼ばれます。
中古ドメインは過去の運用歴も引き継がれるため、Googleなどの検索エンジンからの評価も受け継がれます。そのため、SEOの観点から新規ドメインよりも中古ドメインは、ドメインパワーが高い傾向にあると言われることもあります。
SEOにおけるWebサイト(ドメイン)の優位性を表したものです。明確な定義はなく、特定のドメインが持つSEOに対する影響力や価値を示す時に用いられることが多いです。
中古ドメインを使用するメリット
Webサイトの立ち上げに中古ドメインを購入する方も一定数います。特定のキーワードを含むドメインや、短く覚えやすいドメインを得るために、中古ドメインを購入することがあります。
なかにはSEO効果が得られるとして、数百万円で売買するケースも珍しくありません。ここでは、なぜ中古ドメインがSEOの観点からメリットがあると言われているのか、解説します。
過去の運用歴によっては、検索で上位に表示されやすい
過去のWebサイトが検索エンジンから高く評価されていた場合、新しく制作したWebサイトのコンテンツも検索で上位に表示されやすくなります。
ドメインパワーが高いWebサイトはGoogleから「ユーザーにとって有益性のあるコンテンツがある」と認識され、信頼を得ています。新規ドメインで信頼性がゼロの状態からドメインパワーを上げようとすると、サイト構造を最適化したり、コンテンツを充実させたりしなくてはなりません。
あらかじめドメインパワーが高い中古ドメインを購入することで、早期に検索順位の上位表示を狙えるでしょう。
過去に運用されていたサイトの被リンクを利用できる
外部サイトから自身のWebサイトへ向けられたリンク(被リンク)が多いと、検索エンジンからの評価が高くなり、検索上位も狙いやすいと言われています。
中古ドメインを使用すると、過去の被リンクも引き継がれるため、新規ドメインのようにイチから被リンクを集める手間が省けます。
そのため、Webサイトを素早く上位表示させたい場合などに、中古ドメインを選ぶケースも少なくありません。
失敗する?中古ドメインを使用するリスク
前述のとおり、SEOの観点からすると中古ドメインを購入するメリットはあります。
しかし「効果が期待できるから」と安易に中古ドメインを購入することはおすすめしません。
中古ドメインにはリスクもあげられます。代表的なリスクをご紹介します。
評価の低い被リンクを引き継ぐことがある
中古ドメインを使用した場合、悪質または評価の低い被リンク数も引き継ぐこととなります。コメントスパムリンクなど、「Google検索の基本事項」に反しているも場合も珍しくありません。
例えば、中古ドメインで過去に制作されたWebサイトが「Google検索の基本事項」に違反していれば、課せられたペナルティが残っていると考えられます。
被リンク数が多くても、ペナルティの対象となるような悪質または評価の低いものが多ければ、SEOとしては逆効果です。
ペナルティを受け、順位が急落する可能性がある
中古ドメインを使用してもWebサイトがGoogleから「不正なサイト」と判断されれば、検索エンジンのインデックスから削除されるなど、なんらかのペナルティを受けてしまいます。
明らかに検索結果での表示が変化するほか、順位が急落する程度の自動ペナルティもあります。
自動ペナルティ、は実行されてもGoogleからのアナウンスがないため、異変が起きてもガイドライン違反に対する処置とは気づきにくいのが特徴です。アルゴリズムのアップデートによる影響があった、と誤解するケースも考えられます。
中古ドメインに限らず、「順位がなかなか上がらない」と感じるWebサイトは自動ペナルティを受けている可能性はないか調べましょう。自動ペナルティは、Google Search Console(Google 検索結果でのサイトの掲載順位を監視、管理、改善するのに役立つ Google の無料サービス)に表示されないため自分自身で調べます。
Googleの「コアアップデートを含むGoogleアルゴリズム アップデート履歴のリスト」でアップデート日を確認して、順位が急落したタイミングが重なっていれば、自動ペナルティが行われたといえます。
Webページが検索エンジン(Googleなど)のデータベース上に登録されることです。インデキシングとも呼ばれています。
中古を避けて「新規ドメイン」を取得する際の注意点
新規ドメインの取得は、レンタルサーバー会社もしくはドメイン登録サービス会社を利用するのが一般的です。
レンタルサーバー会社でのドメイン取得 |
・サーバーのレンタルとセットで申し込める ・ドメイン登録サービス会社よりも高額傾向 ・ドメイン取得に関する設定を代行してくれる |
サーバーをレンタルすると同時に、ドメインを取得する方法です。
ドメイン登録サービス会社よりも高額となりやすい一方で、ドメインの複雑な設定を代行してくれるため、煩雑な作業を避けたい方に向いています。
ドメイン登録サービス会社でのドメイン取得 |
・レンタルサーバー会社よりも安価傾向 ・ドメイン取得に関する設定を自力で行う必要がある ・Whois代理公開サービスでドメイン取得者の情報を保護できる |
ドメイン取得をメインに取り扱っており、レンタルサーバー会社よりも安価で購入できるのがメリットです。複雑な設定を自身で行う必要があるため、知識が求められます。
中古ドメインを避けて新規ドメインを獲得する際は、「誤って中古ドメインを購入しないこと」です。
実は中古ドメインの販売業者が取り扱っていない、いわゆる「野良中古ドメイン」があるため、注視しなければ意図せず中古ドメインを取得してしまうおそれがあります。
ここからは、中古ドメインを見分ける方法を解説します。
個人情報の代わりにドメイン販売業者の情報を公開することで、保有者の個人情報や事業者情報を保護するサービスです。通常、ドメイン取得時は保有者の名前や住所、電話番号、社名などがインターネット上に公開されます。
ドメインのドメインエイジを調べる
ドメインエイジの確認も、中古ドメインを避ける方法のひとつです。ドメインエイジとは、Googleのクローラー(ロボット)からドメインが発見・認識された日から経過した期間のことです。
ドメインエイジの特徴は、Webサイト開設日が起点となるわけではないことです。Googleのクローラーに認識された日を起点とするため、Webサイト開設日とずれることがあります。
取得したいドメイン名が過去に使用されたことがないか、ドメインエイジを調べましょう。インターネット上では、無料で調べられるツールも多くあります。
ドメイン名に商標が含まれていないか調べる
まずは取得したいドメイン名に、商標が含まれていないかを調べます。商標登録されている文言は、商標権侵害のリスクにも繋がります。
せっかくドメインを取得しても、商標権侵害が発覚すれば利用できなくなるため、予防策として商標登録の有無を確認することが重要です。
ドメイン名に商標が含まれていないかどうかは、特許庁の「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で調べられます。
まとめ
中古ドメインの使用は、検索エンジンからの被リンクやコンテンツなどに対する評価、ドメインパワーを引き継げるメリットがあります。一方で、低品質な被リンクやスパムなどマイナスとなる要素も引き継がれるリスクもあります。
Googleがアルゴリズムと人間の両方でWebサイトの質を確認している点を考慮すると、SEO効果のみを狙って中古ドメインを使用することはリスキーといえます。現在はグレー判定だとしても、将来的にアルゴリズムのアップデートで不正行為とされるおそれもあります。
「事業名のため、どうしてもこの中古ドメイン名じゃなければならない」など、特別な事情がある場合を除くと、新規ドメインの使用を検討することをおすすめします。