インターナルブランディングで社内の理念共感を促そう!提供価値の明確化で業績もUP

インターブランディングがどんなものかがよくわからない、業績を伸ばすために有効らしいがどのような効果があるかを知りたい、という中小企業の役員や経営者の方もいるのではないでしょうか。この記事ではインターナルブランディングについて解説します。ぜひ読んでみてくだい。

インターナルブランディングの意味とその変遷

インターナルブランディングとは、社内に会社のブランドの価値観を共有・浸透させていく取り組みのことを指します。

日本でインターナルブランディングという言葉が聞かれるようになったのは2000年頃からです。この頃のインターナルブランディングは「企業が顧客に約束したことを各社員が理解すること、またそのための活動」という意味で使われていました。

しかしその後リーマンショックが起こり、企業は経営改善に傾注するためにインターナルブランディングの活動は縮小されていきました。

そして2015年頃から再びインターナルブランディングが注目されてきました。新しいインターナルブランディングの意味は、「社員などに会社のことをもっと知ってもらうためのブランド構築や啓蒙活動」という意味があります。

ここで注目したいのは対象が社員「など」となっていることです。これは「商品やサービスがエンドユーザーに届くまでに係わるすべての人を対象にする」という考えからです。

社内での理念共感

ブランドとは、商品やサービスを他社のものとどのように区別するかの考え方やその概念的なものです。また、ブランドには企業理念も含まれます。そしてブランディングとはブランドを定着させる活動全般のことを指します。

インターナルブランディングは経営者が社員に商品やサービスを提供する理由や企業理念を浸透させることです。

インターナルブランディングを導入する目的は、社員に自社の存在意義や自分が何者かなどを正しく理解してもらい、自立して能動的に仕事や役割をこなせるようになってもらうためです。

商品やサービスの提供価値を明確化して、社員個々の考えを統一させる

ブランドを構成するものには具体的な形あるモノや言葉ばかりではなく、抽象的、概念的な言葉で表すものもあります。

インターナルブランディング導入の効果として、社内の価値観を統一するというのがあります。自社が追い求めているものや企業理念、顧客に提供するものなどを具体的な形や言葉で明確にし、それを社員に周知するからです。

インターナルブランディングとアウターブランディング

インターナルブランディングに対してアウターブランディングという言葉があります。これは一般に言われている、広告やロゴの作成、広報活動などの「ブランディング」と同じ意味で、社外や顧客に向けたものです。

インターナルブランディングとアウターブランディングは相互に関連しあうものです。車の両輪のようなもので、片方だけで十分な効果は発揮できません。

なぜなら、顧客向けのアウターブランディングだけでは、品質問題や従業員の態度といったブランド毀損を防止することができないですし、また、インターナルブランディングだけでは、会社の収益には直結しづらいでしょう。

社外向けの発信と社内の意識を連動させてこそ真の価値が発揮できます。

 

インターナルブランディングのメリットは?

ここまで、インターナルブランディングの定義とその変遷を見てきました。では、インターナルブランディングを行うことは、会社にとってどんなメリットがあるのでしょうか。

会社の顧客満足度が向上

まず、インターナルブランディングによって、各社員が企業理念や価値観などを共有することで自社が何を目指しているかが明確になります。また、社員間での共通の価値観が生まれます。

これにより、顧客に対して統一された自社のブランドの意味や価値などを適切に伝えることができます。

また、社員が顧客の望んでいることを推測し、それに対してどのように行動すれば自社の魅力を発信し伝えられるかを考えるようになるでしょう。

この結果、企業の価値を示す要素である顧客満足度を向上させる行動に結びつきます

社員が自発的に顧客目線を考えるように

インターナルブランディングを取り入れる理由の一つは、各社員が自発的に顧客目線で考えることを促すことです。決して経営者が号令を出してトップダウンでブランドを作ることではありません。

それぞれの社員がブランドについての認識を持っていれば、顧客に対する方策や課題などを自発的に考えて発信できるようになります。それらを材料にしてより良いブランドを考え、またブランディングができます。

インターナルブランディングの内容や方策が明確であれば、顧客に何を伝えるかがはっきりし、より良い商品やサービスを作り、より効果のある広報活動ができるようになります。

自社へのエンゲージメントが高まることで離職率を下げることができる

企業によっては社員の離職率が高いことが悩みの一つとして挙げられるでしょう。

社員が辞めてしまう理由として、企業の目指しているものや方向性が見えない、その目指しているものや方向性に賛同できないということが挙げられます。これはブランドが明確でなかったり、ブランディングが働いていないために起こることもあります。

インターナルブランディングが明確であれば、社員がどのような行動をすればよいかも明確になります。その結果、モチベーションを高く保ち、離職率を下げることも可能となります。

 

 

インターナルブランディングの段階と進め方

インターナルブランディングを進めるには4つの段階があります。

最初にやることは、現状のブランドやブランディングの把握です。この時点で社内にブランドが確立されているか、社員に浸透しているか、製品やサービスに生かされているかなどを確かめます。

次に、企業理念や行動規範を作ります。これは自社のブランディングの内容や手法、方向性が合っているかどうかを検証する機会でもあります。

そして、作った企業理念や行動規範を社員にどのように浸透させ、共有してもらうかの方法を考えます。

インナーブランディングは社員にすぐに浸透するものではありません。最後にすることは、企業理念や行動規範の共有活動を継続する方法を考え、企業活動の一つとして組み込むことです。

現状の把握

インターナルブランディングを始めるには、自社の現状を調べ、理解する必要があります。自社のブランドが明確に構築されているか、社員が自社のブランドのことを正しく理解しているか、ブランドのことを考えて行動しているかを検証する必要があります。これはアンケートや聞き取りなどで調べます。

自社のブランドが確立されていなければインターナルブランディングの活動はできません。また、社員が自社のブランドのことを知り、理解していなければ日々の業務の意味を見出せません。

理念の策定

自社のブランドの現状が分かったら、企業理念と行動規範を作ります。

自社の基本的な考えや企業として何を、またどこを目指すか、どのような価値を作り出すかを明確にします。これが企業理念となりブランドの基礎となります。

企業理念が明確になったら、社員がそれを実現するための日々の行動の指針を作ります。この指針作りで気を付ける点は「わかりやすくするために明文化する」、「社員が柔軟に行動できるように絶対的なものにはしない」ことです。

施策を模索、策定

企業理念と行動規範を作ったら、それらを社員が共有する方法を考えます。具体的な方法はいくつかあります。

ブランドロゴを作れば、企業理念を画像化にすることで視覚的に伝えられます。

企業理念や行動規範、ブランドロゴの使用規定などをまとめた「ブランドブック」を作ります。これで社員はいつでもブランドのことを参照できます。

また、イントラネットや社内SNSを利用すれば社員のブランドに対する活動の内容や考えの情報を共有できます。

アウターブランディングである広告や看板などの社外への発信もインターナルブランディングに有用です。これらは社員が社外で目にすることに意味があります。広告などを見ることでそれに恥じないように自社に対する責任感が向上します。

継続のための仕組み化

社員が日々の業務に自社のブランドのことを生かせるようにするには、企業理念や行動規範を浸透させる必要があり、そのための活動は長期的なものになります。

ブランドは抽象的、概念的なものが含まれることがあります。これらからブランドを「自分のこと」として理解してもらうことや、形あるものにしたりサービスを考えるのは一朝一夕でできることではありません。

また、社員同士が企業理念や行動規範を指標にして日々の行動を評価しあうことも有用です。社員の行動について効果の有無やその理由を共有でき、また、出てきた課題を洗い出してそれを解消する方法や手順の立案ができます。

インターナルブランディングの具体的な施策と事例

インターナルブランディングの進め方を解説していきました。次に考えることは具体的な施策です。ここでは社内のブランド共有・浸透のためによく行われる施策を解説します。

メディアを活用したコミュニケーション

社内SNSなど、情報媒体を使った社内の交流は、ブランドの共有・浸透に効果的です。  現在ではTalknoteやMicrosoftのYammerなど、企業向けにカスタマイズされたSNSを導入しているところが多くなってきました。

社員同士のコミュニケーションを円滑にして、社内で新しいアイデアが生まれやすくなったり、組織の一体感を強めることができます。

また、拠点が各所に離れており、多拠点の動きが分かりづらい企業では、社内報の情報発信も効果的です。

社内SNSと社内報を組み合わせると、一方通行の発信ではなく、双方向からのコミュニケーションを促すこともできます。

社内表彰などの社内イベント

全社的に社員を集めたイベントを開くのも効果的です。普段は他部署で交流がない人たちとも、関係を深めることにも繋がります。

また、社内表彰なども行うと、企業の理念や価値観に対する意識を高め、理想の従業員像を示すことができます。そのため、社員が明確な目的をもって働くことができるようになります。

採用オウンドメディア

自社内で構築した採用向けブログ、採用オウンドメディアも、実はインターナルブランディングに効果的です。

採用オウンドメディアには、求職者向けに自社の魅力や価値観を発信する、アウターブランディングの効果があります。

それと同時に、社員がインタビューに取り上げられることで、社員としての存在意義を再認識したり、といったインターナルブランディングの効果もあります。

また、採用オウンドメディア内の記事を、社員が自発的にSNSで投稿したり、シェアしたりすることで、帰属意識の向上にも繋がります。

採用オウンドメディアの詳細が知りたい、という方は下記の記事も併せて読んで見てはいかがでしょうか。

https://www.mchs.co.jp/dm_column/own_media_recruiting/