【2024年最新】クッキーレスとは?ウェブマーケティングにおける対策とは

現在、AppleのSafariやMozillaのFirefoxなど、主要ブラウザがクッキーレスを実施しています。日本のシェア率1位を誇るGoogleのChromeでも、今後同様の取り組みが実施される予定です。 クッキーレスの時代に対応するためには、クッキーに代わるマーケティング施策の実施が欠かせません。 そこで本記事では、クッキーレスに向けて実施するべきマーケティング施策を紹介します。また、記事後半では、クッキーレス対策はいつから始めるべきかについても解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。

クッキーレスとは

クッキーレス(Cookieless)とは、ウェブサイトの閲覧履歴や入力履歴を保存するクッキー(Cookie)による情報の取得が規制される動きのことです。

そもそもクッキーはユーザーがウェブサイトを訪れた際にブラウザに保存される小さなデータファイルのことを指します。

ユーザーの行動履歴やログイン情報などを記録することが可能です。これにより、再度同じサイトを訪れた際に、設定や入力情報を省略できます。

しかし、近年はプライバシー保護の観点からクッキーによる情報取得が問題視されているのが現状です。とくに、ユーザーの行動を追跡するサードパーティークッキーは、プライバシー侵害のリスクが高いと警戒されています。

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クッキーレスが注目される時代背景

クッキーレスが注目されている背景には、以下の3つの出来事が挙げられます。

・法律による規制が強化されている
・ブラウザが自主規制を進めている
・ユーザーの不快感が高まっている

以下、それぞれ詳しく解説します。

法律による規制が強化されている

クッキーレスが注目される大きな要因のひとつに、法律による規制の強化があります。

昨今、個人情報保護やプライバシー保護の観点から、世界各国でクッキーの利用に関する法規制が進んでいるためです。

とくに、2018年にEUで施行されたGDPR(一般データ保護規則)が注目を集めています。GDPRは、個人データの取り扱いに厳しい規制を設けており、クッキーの使用にもユーザーの同意を必要としました。

また、日本でも2022年4月に改正個人情報保護法が施行され、2023年6月には改正電気通信事業法が施行されています。日本国内でも、クッキーの利用に関する規制が強化されているのが現状です。

出典:EU(外国制度)|PPC 個人情報保護委員会
出典:令和3年 改正個人情報保護法について|PPC 個人情報保護委員会
出典:改正電気通信事業法の施行に向けた準備|総務省

ブラウザが自主規制を進めている

法律による規制に加えて、主要なウェブブラウザ自体もサードパーティクッキーの利用を制限する動きを見せています。

とくに影響が大きいのは、ブラウザシェアの高いGoogleのChromeです。Googleは2023年からサードパーティクッキーの利用を段階的に廃止する計画を発表しています。

また、AppleのSafariはすでにサードパーティクッキーを全面的に廃止しており、MozillaのFirefoxも同様の対応を進めているのが現状です。

そのため企業は、これまでのクッキーを利用したユーザートラッキングや広告配信の手法を大幅に見直す必要性に迫られています

とくに、リターゲティング広告(Webマーケティング手法の一つで、以前Webサイトに訪問したユーザーに対して表示される広告)やクロスサイトトラッキング(複数のウェブサイト間でユーザーの行動を追跡するマーケティング手法)など、クッキーに依存していた手法への影響が大きくなる見込みです。

ユーザーの不快感が高まっている

クッキーレスが注目される背景には、ユーザー側の意識の変化も大きく影響しています。多くのユーザーが、自分の行動が知らないうちに追跡され、企業に利用されていることに不快感を覚えるようになったためです。

とくに問題視されているのは、サードパーティクッキーを利用したリターゲティング広告です。あるサイトで閲覧した商品の広告が別のサイトでも表示されることで、「監視されている」という不快感を抱くユーザーは多くいます。

また、自分の趣味嗜好や行動履歴が収集されて広告が表示されることに対して、プライバシーの侵害だと感じるユーザーもいるようです。

そのため、ユーザーのプライバシーを尊重しつつ、効果的なマーケティングを行う新しい手法が求められ始めています。

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クッキーレスがマーケティングに与える影響

クッキーレスが実施されると、マーケティングには以下の影響が発生すると考えられるでしょう。

・広告効果の計測・改善が難しくなる
・パーソナライズド広告の精度が悪くなる

それぞれ具体的に解説します。

広告効果の計測・改善が難しくなる

クッキーレス時代の到来により、広告効果の計測と改善が難しくなる点が大きな課題となるでしょう。

従来、広告主はユーザーの閲覧履歴やクリック履歴を基に、広告のパフォーマンスを詳細に分析し、最適化することが可能でした。しかし、サードパーティクッキーの規制が強化されると、これらのデータを収集する手段が制限されます。

例えば、リターゲティング広告の効果を測定する際、どの広告がどの程度のコンバージョンを生んだのかを把握できません。

以上のように、ユーザーの行動を正確に追跡することが難しくなれば、広告の効果を適切に評価することが困難になるでしょう。

パーソナライズド広告の精度が悪くなる

クッキーレス時代の進行により、パーソナライズド広告(個人の興味や行動履歴に基づいて、最も関連性の高い広告を表示するマーケティング手法)の精度が低下することも懸念されています。

これまでは、ユーザーの興味や関心を把握し、個々に最適な広告を配信するためにサイドパーティクッキーが使用されたためです。

しかし、サードパーティクッキーの規制が強化されると、ユーザーのオンライン行動を詳細に追跡することが難しくなります。ユーザーの興味や関心を正確に把握することができず、パーソナライズド広告の精度が低下する可能性があるでしょう。

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クッキーレスに向けて実施するべきマーケティング施策

クッキーレスの時代に対抗するために実施するべきマーケティング施策は、主に以下の5つです。

・ファーストパーティクッキーを活用する
・オウンドメディアの集客力を強化する
・SNSマーケティングに力を入れる
・コンバージョンAPIを導入する
・コンテキスト広告を利用する

それぞれ詳細に解説します。

ファーストパーティクッキーを活用する

クッキーレスの対策には、ファーストパーティクッキーの活用が欠かせません。

ファーストパーティクッキーとは、ユーザーが直接訪問したウェブサイトによって設定されるクッキーのことです。ユーザーが訪れたとあるサイトだけから情報を取得します。

ユーザーの意思と関係なく情報が発信されるサードパーティクッキーに比べて、プライバシー規制の影響を受けにくい点が特徴です。

ファーストパーティクッキーを効果的に活用することで、ユーザーの行動データを収集可能です。ユーザーの閲覧履歴に基づいてレコメンデーションを表示したり、ログイン状態を維持したりできます

また、ファーストパーティクッキーで得たデータも、活用次第では顧客セグメンテーションやターゲティングの精度向上を狙えます。サードパーティクッキーが制限された時代でも、効果的なマーケティングキャンペーンの実施が可能です。

オウンドメディアの集客力を強化する

オウンドメディアの集客力強化も、クッキーレス時代において非常に重要な施策です。

コンテンツマーケティングを強化してユーザーにとって価値のある情報を提供することで、直接的にユーザーとの関係性を築けます。サードパーティクッキーに依存せず、ブランドの認知度向上や顧客ロイヤルティの向上につながるでしょう。

オウンドメディアへの集客力を強化したいなら、SEO(Search Engine Optimization 検索エンジン最適化)も欠かせません。検索エンジンでの見つかりやすさを向上させ、オーガニック検索からの自然な流入を促進させましょう。

そのうえで、メールマガジンやニュースレターのようなダイレクトマーケティングツールも非常に有効です。ユーザーから許可を得た上でメールアドレスを集め、定期的に役立つ情報を提供することで、ユーザーとの持続的なつながりを築くことが可能です。

SNSマーケティングに力を入れる

SNSマーケティング(ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用して販売促進やブランドのファンを増やすマーケティング手法)も、クッキーレス時代において注目される効果的な手法として注目されています。

SNSは、若者を中心に閲覧される確率が高く、直接的にユーザーにアプローチできるためです。セールス情報やプロモーションコード、イベント案内などを送信することで、即座にユーザーの行動を促せます。

また、いいねの数やフォロワーの属性などをチェックすれば、サイドバーティクッキーを使用することでなく顧客ニーズの把握が可能です。さらに、パーソナライズされたメッセージを送ることで、顧客との関係性を強化することもできるでしょう。

ただし、SNSマーケティングを実施する際は、ユーザーの同意を得ることが不可欠です。また、メッセージの頻度や内容に注意を払い、スパムと認識されないよう配慮して運用しましょう。

内部リンク:ブランディングを成功させるならSNSがおすすめ!その理由やポイントとは

コンバージョンAPIを導入する

コンバージョンAPIの導入も、クッキーレス時代における広告効果測定の重要な施策といえます。

コンバージョンAPI(Conversion API、CAPI)は、クッキーを使用せずにウェブサイトやアプリケーションのユーザー行動を記録する秘術のことです。記録したデータは、直接マーケティングプラットフォームに送信できます。

コンバージョンAPIなら、ブラウザの制限やアドブロッカーの影響を受けにくく、より正確なコンバージョン追跡ができます。広告キャンペーンの最適化やROI(投資した費用からそれくらいの利益が得られたかを表す指標で、投資の効率性や収益性を評価するために用いられる)の向上につながるでしょう。

また、コンバージョンAPIはクッキーを使用しないため、ユーザーのプライバシーを保護しつつ必要なデータを収集可能です。今後、サードパーティクッキーに代わる重要な技術のひとつとして注目されるでしょう。

コンテキスト広告を利用する

コンテキスト広告も、クッキーレス時代において効果的な広告手法のひとつとして注目されています。

コンテキスト広告とは、ユーザーの個人情報やブラウジング履歴ではなく、ウェブページの内容や文脈に基づいて広告を配信することです。AIを活用してウェブページのテキスト・キーワード・画像などを解析し、関連する広告を表示するように設定します。

例えば、料理のレシピを見ているユーザーに調理器具の広告を表示するなど、ユーザーの興味や意図に合致した広告を提供可能です。

クッキーとは異なり、コンテキスト広告はユーザーの行動を分析するわけではないため、プライバシー規制の影響を受けにくく、長期的に安定した広告戦略として活用できます。

また、不適切なコンテンツと広告が関連付けられるリスクを軽減できるため、ブランドセーフティにも効果的です。

キーワードや関連トピックの選定スキル、高度な文脈解析の技術が求められますが、今後注目するべき広告戦略といえるでしょう。

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クッキーレス対策はいつから始めるべき?

クッキーレス対策は、今すぐにでも始めるべきといえるでしょう。サードパーティクッキーの規制はすでに進行中であり、完全な廃止に向けて着々と進んでいるためです。

AppleのSafariやMozillaのFirefoxなど、いくつかの主要ブラウザではすでに制限が始まっています。また、GoogleのChromeもサードパーティクッキーの完全な廃止に向けて行動していくと発表しているのが現状です。

現在は2025年初頭に延期されているものの、対策を後回しにする理由にはなりません。変化に適応し、新しいマーケティング環境で成功するためには、早期の準備と戦略の見直しが不可欠でしょう。

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まとめ

本記事では、世界で広がりを見せるクッキーレス時代が与える影響や、必要なマーケティング施策を解説しました。

クッキーレスが主流になると、従来のようにサードパーティクッキーに頼った広告戦略は通用しません。オウンドメディアやSNSなどを駆使して、自社のブランディング能力を高めましょう。