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目次
コンテンツマーケティングの効果測定が難しい理由
コンテンツマーケティングの効果測定が難しいといわれる主な理由として、大きく以下2つがあげられます。
コンテンツの「質」は数値化が難しい
コンテンツの質がマーケティングの成功に大きく関わるものの、その「質」を客観的に数値化するのは難しいです。
人によって評価基準が異なるため、どれだけ価値のあるコンテンツかを統一的に評価するのは困難です。例えば、専門的な知識を持つユーザーにとっては質の高い記事でも、初心者にとっては理解しづらい可能性があり、その差を数値で測ることは容易ではありません。
そのため、効果分析には数値化できる指標(PV数、セッション時間、コンバージョン率など)を慎重に選び、継続的に評価していく必要があります。
目的に応じた指標選定の難しさ
コンテンツマーケティングには、売上向上や顧客ロイヤリティ向上、ブランド認知度の拡大など複数の目的が存在します。各目的に対して、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定するには、専門的なノウハウが必要です。
例えば、売上向上が目的の場合、コンテンツがどの程度コンバージョンに寄与したのかを測定する指標を選ぶ必要があります。一方で、顧客ロイヤリティ向上が目的であれば、リピート率やエンゲージメント率を重点的に追跡します。このように、目的ごとに最適な指標を見極めることが、正確な効果測定の鍵となります。
次項では、コンテンツマーケティングの効果測定を正しくできるよう、具体的な方法を網羅的に紹介します。
コンテンツマーケティングの正しい効果測定の方法
コンテンツマーケティングの効果測定を行う際には、以下のポイントを意識しましょう。
1.目的をもとにKPIを設定する
2.コンテンツを公開し効果測定を行う
3.効果測定の結果から改善点を見つける
4.次のKPIを設定する
それぞれ詳しく解説していきます。
1.目的をもとにKPIを設定する
目的達成のために、途中経過を詳しく評価する指標としてKPIを設定しましょう。目的に応じて効果測定の指標を決めないと、目指すべき方向性に沿った成果を正しく評価できなくなります。
コンテンツマーケティングで掲げる目的は、自社の商品・サービスの売上向上や認知度向上などさまざまで、目的に応じて適切なKPIは異なります。
例えば商品の売上向上が目的なら、より多くのユーザーに自社のサイトを見てもらい、問い合わせ数を増やして、購買につなげることが重要です。そのため、サイトの訪問者数や問い合わせ数などがKPIの候補になります。
関連記事:コンテンツマーケティングのKPI設定の手順とは?具体例を交えて解説
2.コンテンツを公開し効果測定を行う
KPIの設定後は、コンテンツを公開して、商品・サービスの認知や契約の締結など、各段階で実際に測定を行います。
コンテンツマーケティングはユーザーに有益な情報を提供して、見込み顧客へと徐々に育成するものなので、短期間での大きな成果は見込めません。そのため、少なくとも数カ月単位など、中長期的にユーザー行動の変化を追い続けることが重要です。
後述する測定ツールを使うと、自社サイトの検索順位やアクセス数を手軽に確認できるため、ぜひ活用しましょう。
3.効果測定の結果から改善点を見つける
ユーザーの行動が可視化された効果測定の結果を分析することで、ユーザーニーズを満たすコンテンツの作成につなげられます。指標が良くない箇所があれば、ユーザーにとってなんらかの問題があると考えられるためです。
例えば、記事の冒頭でページを離脱するユーザーが多いなら、リード文でユーザーの興味を引けていないなどの改善点がみえてきます。
また、効果測定の結果の分析により、課題の多いページと少ないページが分かるため、施策の優先順位付けにも役立ちます。
4.次のKPIを設定する
コンテンツの改善点が明確化したら、次のKPIを設定して、どのような施策を実施するのか計画を立てましょう。
例えば、ページのアクセス数が上がっているのに問い合わせ数が上がらないなら、ユーザーニーズを満たす内容になっていないと推測できます。
よりユーザーの満足度を高めるため、例えば滞在時間やスクロール率をKPIに設定して、視覚的にも飽きさせない工夫を行うなどが効果的です。
このように、効果測定の経過を分析して、客観的な根拠のある施策を継続的に講じる必要があります。以降は、手順2から再びサイクルを回していきましょう。
コンテンツマーケティングの効果測定に重要な評価指標
コンテンツマーケティングの効果測定には、段階ごとに重要な評価指標があります。ここでは、顧客が購入に至るまでのプロセスを以下の3つに分けて主な指標を解説します。
1.より多くのユーザーにコンテンツが閲覧される(新規顧客の獲得)
2.自社の商品・サービスが詳しく認知されて、評判が広まる(認知・拡散)
3.自社の商品・サービスが成約に至る(契約・購入)
それぞれ詳しくみていきましょう。
新規顧客と接点を得る段階の評価指標
新規顧客を獲得する段階の評価指標としては、以下が挙げられます。
評価指標 | 概要 |
コンテンツ数 | ・サイトにどれくらいのコンテンツを掲載しているか ・コンテンツ数が多いと流入増加につながるだけでなく、ユーザー行動のデータが貯まりやすくなる |
コンテンツの検索順位 | ・コンテンツが検索結果のどの位置に掲載されているか ・検索順位が1位に近いほど記事が読まれやすく、改善にはSEO(Search Engine Optimization 検索エンジン最適化)対策を強化する必要がある |
PV数 | ・ページ単位の閲覧数を指す ・人気ページや不人気のページが分かるため、ユーザーの興味・関心をチェックできる |
UU数 | ・特定の期間でメディアを訪問したユーザーの数を指す ・PV数と異なり、一人のユーザーが複数のページを見ても「1」とカウントされるため、訪問したユーザー数を正確に測定できる |
セッション数 | ・特定の期間に一人のユーザーがメディアを訪問した回数を指す ・ユーザーがどれくらいの頻度でコンテンツを見ているかが分かる |
新規顧客の獲得の段階においては、自社のコンテンツがいかに多数の人に、多くの回数見てもらえているかを意識することが重要です。そのために、コンテンツの検索順位や訪問ユーザー数などを詳しくチェックしましょう。
評価指標を個別に確認することも大切ですが、複数の指標を組み合わせると顧客の実態をより詳しく把握可能です。例えば、UU数が変わらないがセッション数が増えていれば、リピートが増加していると判断できます。
認知・拡散の段階の評価指標
自社や商品・サービスの認知・拡散の段階における指標は、以下のとおりです。
評価指標 | 概要 |
シェア数 | ・SNSでメディアのページやコンテンツがどれだけシェアされたか ・月や週単位でシェア数を把握する |
直帰率 | ・ユーザーが最初に閲覧したページから、ほかのページに移動せず離脱した割合 ・直帰率が高いとユーザーの満足度が低い傾向にある |
滞在時間 | ・サイトにアクセスしたユーザーが、どれだけメディア内に滞在したのか ・ユーザーがどれだけ興味を持ってサイトを閲覧したかが分かる |
回遊率 | ・サイトにアクセスしたユーザーが、1回の訪問でどれくらいのページを閲覧したのか ・回遊率が高いと、ユーザーの満足度も高い傾向にある |
再訪率 | ・サイトに再度訪れたユーザーの割合を指す ・再訪率が高いほどユーザーのニーズに沿ったコンテンツを提供できているといえる |
推移率(送客率) | ・サイト内のあるページから、ほかのサイトに離脱せず別のページに移動した割合を指す ・メディアの使いやすさやユーザー行動を把握できる |
スクロール率 | ・ユーザーが特定のページをどこまで閲覧したのか、ヒートマップをもちいて確認できる ・スクロール率が高いと、ユーザーのニーズを満たすページになっているといえる |
認知・拡散の段階では、顧客がコンテンツを通じて商品やサービスへの関心を深めていくので、ユーザーに価値ある内容になっているかが重要です。質の高いコンテンツかどうかを測れる「滞在時間」「再訪率」などを選んで、多角的な視点で評価しましょう。
また、指標ごとにユーザーの満足度を上げるための適切な対応策を講じることが不可欠です。例えば、直帰率を低下させるために、文字だけでなく画像や表を入れ込み飽きさせない工夫を行うなど、コンテンツの質を高める必要があります。
契約・購入の段階の評価指標
商品やサービスの契約・購入の段階における評価指標としては、以下が挙げられます。
評価指標 | 概要 |
問い合わせ数 | ・サイト内の問い合わせページを通じて得られた問い合わせの数を指す ・購買意欲があるユーザーのニーズを把握できる |
資料請求数 | ・サイト内のホワイトペーパーやサービス紹介などの資料が請求された回数を指す。 ・詳細な情報を求める見込み顧客の数を確認できる |
メールマガジン登録数 | ・メールマガジンへの登録を行ったユーザーの数を指す ・自社に関心があり、継続して情報を得たいと考えるユーザーの数が分かる |
契約・購買数 | ・コンテンツ経由で自社の商品やサービスが契約・購入された数を指す ・コンテンツごとに把握して、施策の効果を見極める必要がある |
契約・購入の段階では、最終的な目標のひとつであるコンバージョン数(ユーザーが購入など利益につながるアクションをする数)にあたる指標を設定します。
自社の商品やサービスの性質に応じて、何を評価指標とするのかを決めましょう。例えば、海外ツアーなどすぐに購入するケースが少ない高額なサービスなら、まずは「問い合わせ数」などの増加に注力するのも選択肢のひとつです。
失敗しない!コンテンツマーケティングの効果測定のポイント
コンテンツマーケティングの効果測定を行う際には、以下2つのポイントを意識することが大切です。
・短期ではなく中長期で考える
・測定結果から改善を続ける
それぞれ詳しく解説していきます。
短期ではなく中長期で考える
コンテンツマーケティングは短期間で劇的な成果が出るものではなく、長期的に効果が現れることが多いです。そのため、定期的に効果を確認しつつも、焦らずに中長期で結果を評価する姿勢が重要です。
例えば、コンテンツマーケティングの一環として行うSEOは、検索エンジンでの評価が上がるまでに時間がかかります。
新しく公開したコンテンツが検索結果の上位に表示されるようになるには、通常、数週間から数ヶ月かかることが一般的です。検索エンジンは信頼性の高いコンテンツを評価するため、継続的な更新と改善が必要です。
また、ユーザーがコンテンツを認知してから実際の購買行動や問い合わせに至るまでに複数のステップが存在します。
まず興味を持ち、次に信頼を感じ、最終的に購買に至るため、このプロセスは短期間で完結するものではありません。特に高額商品や法人取引では、購買決定までの時間が長くなる傾向があります。
測定結果から改善を続ける
コンテンツマーケティングでは、効果測定がゴールではなく、その結果を基にコンテンツを改善し、成果の向上を目指すことが重要です。効果が出ていないコンテンツは、設定した指標を確認して課題を明確にし、改善を進める必要があります。
例えば、アクセス数は増えているのに問い合わせ数が増えていない場合、サイトの導線設計に問題があるかもしれません。その場合、商品訴求の文言やページレイアウトを見直すなどの対策が必要です。
また、ユーザーの行動は常に変化するため、過去に成果を上げたコンテンツでも定期的な測定と改善が欠かせません。特にセールやキャンペーン情報など、時期によって内容が変わるコンテンツは頻繁にチェックして改善を行いましょう。
もし、自社のリソースだけでコンテンツの継続的な改善が難しい場合は、専門会社に一部業務を外注することも有効な選択肢です。
コンテンツマーケティングの効果測定に有効なツール
コンテンツマーケティングの効果測定を行う際には、ツールを使用すると手軽に深い分析ができます。ここでは、マーケティングの知識や経験が少ない方でも使用可能な、以下のツールを紹介します。
・Googleサーチコンソール
・Googleアナリティクス
・Ahrefs
それぞれ詳しくみていきましょう。
Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールは、Google検索結果でのサイトの掲載順位などを監視、管理、改善するのに役立つ無料のツールです。
サーチコンソールのページにアクセスし、以下を参考に適切な欄に自社サイトのURLを入力して、案内どおりに進めれば測定を始められます。
ドメイン | 単一のドメインで複数サイトを運用している場合に選択 |
URLプレフィックス | ドメインごとに1サイトのみを運用している場合に選択 |
測定画面では、左側にあるメニュー欄から項目を選んで、さまざまな指標を測定できます。主な項目は以下のとおりです。
検索パフォーマンス | ・サイト全体の平均掲載順位やCTR(※1)がグラフで表示される ・キーワードやページごとの検索流入数も分かる |
インデックス作成 | 各ページが検索エンジンのデータベースに登録されているか分かる |
リンク | 自社サイトへの被リンク(※2)の現状を確認できる |
※1 検索画面に表示された回数に対するクリック数の割合
※2 ほかのサイトから自社サイトへリンクが貼られること
特に「検索パフォーマンス」では、上部の入力欄で日付や期間を指定することで、指定した期間内のデータを確認できます。さらに、特定のキーワードを入力すれば、そのキーワードの検索順位やCTRのグラフが表示され、詳細なデータ分析が可能です。
グラフの下には、各キーワードやURLごとのクリック数や検索結果での表示回数が表示されており、このデータを活用して、SEO施策の立案や改善に役立てることができます。
Googleアナリティクス
Googleアナリティクスも無料で利用でき、自社サイトのユーザー属性や行動を分析するのに役立ちます。サーチコンソールがユーザーがサイトにたどり着くまでの行動を把握するのに対して、アナリティクスはサイト内でのユーザーの行動を分析できる点が大きな特徴です。
利用を開始するには、Googleアナリティクスのサイトにアクセスし、「測定を開始」ボタンをクリックして案内に従いアカウントを作成する必要があります。
測定画面の左側にある「レポート」アイコンをクリックし、表示される項目を選択することで、さまざまな指標を分析できます。主な項目は次の通りです。
レポートのスナップショット | ・ユーザー数やサイト上で行動した時間が確認できる ・過去30分間のユーザー数も分かる |
ユーザー属性 | ユーザーの性別や年齢、住んでいる地域などが確認できる |
エンゲージメント | ユーザーが取った行動の数やコンバージョン数などが分かる |
テクノロジー | ユーザーのデバイスやブラウザ、画面の解像度などが確認できる |
いずれも期間を指定してデータを確認できるため、サイト内で新たに講じた施策の効果を測定でき、PDCAサイクルを回せるのがメリットです。
Ahrefs
Ahrefsは、競合を含むサイトの現状や、キーワードの検索ボリューム・難易度などを詳しく分析できるツールです。月額19,900円から利用でき、計測するキーワード数や利用ユーザー数に応じて料金が上がります。
Ahrefsのホームページから契約後、調査したいドメインのURLを入力するだけで簡単に利用可能です。
測定画面の上側にあるメニュー欄から項目を選択して、サイトに関する幅広い指標を測定できます。主な項目は以下のとおりです。
Site explorer | ・自社サイト・競合サイトの被リンク数、被リンク元のページなど詳細が分かる ・サイトのドメインパワーが数字で表示される ・サイトのキーワードごとの検索ランキングや流入数が確認できる |
Keyword explorer | ・キーワードの検索ボリュームや上位表示の難易度が分かる ・関連して狙えるキーワードも表示される ・上位サイトがほかにどのキーワードでランクインしているか確認できる |
特に、自社と関連性の高いサイトからのリンクは、検索エンジンからの評価につながるため、被リンクの調査は重要です。
このように、競合サイトを意識しつつ、検索上位を狙うための被リンク・キーワードの深い分析に役立つツールといえます。
まとめ
コンテンツマーケティングの効果測定は、ユーザーニーズやコンテンツの課題の把握につながります。
効果測定を行う場合、適切なKPIを設定して中長期で考えていくことが大切です。また、効果測定により得られた結果をコンテンツの改善に活かす必要があります。
効果測定には、Googleサーチコンソールなどのツールを活用するのがおすすめです。自社のノウハウやリソースが不足していたら、専門会社へ相談してみるのも良いでしょう。