目次
コンテンツマーケティングの種類
コンテンツマーケティングの種類は、使用するコンテンツ(媒体)によって大きく異なります。コンテンツマーケティングを理解するためには、以下のようなコンテンツの種類や特徴を深く知ることが重要です。
・オウンドメディア ・SNS ・動画投稿 ・メルマガ・ニュースレター ・プレスリリース ・ホワイトペーパー ・セミナー・説明会 ・ランディングページ |
それぞれのコンテンツの詳細をみていきましょう。
オウンドメディア
オウンドメディアとは、自社が所有・運営するメディアで、主にウェブサイトやブログを通じて顧客に価値ある情報を提供するものです。企業が自ら発信するテキストコンテンツが中心であり、ブランドの信頼性や専門性を高める手段としても効果的です。
また、検索エンジン経由でのアクセス増加を狙えるため、長期的なマーケティング施策としても重要な役割を果たします。
オウンドメディアのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・検索結果からの流入によってリードを獲得できる ・自社の資産となり、長期にわたって流入を見込める ・既存顧客に対しても、リピート購入や契約の継続を訴求できる |
デメリット | ・成果が出るまでに時間がかかる ・定期的な修正や更新が必要となる場合が多い |
オウンドメディアの記事コンテンツは、自社ならではの専門知識や解説を提供でき、リードの獲得やブランドイメージの向上に効果的です。
例えば、ユーザーの悩みを解決するノウハウ記事を作成し、検索結果で上位に表示されるように工夫すれば、アクセス数が増加し、認知拡大にもつながります。このように、ユーザーにとって有益な情報を提供することで、信頼関係を築き、長期的なファン層を形成することが可能です。
SNS
SNSとは、X(旧Twitter)やInstagramなどのプラットフォームを活用し、幅広いユーザーに短いメッセージや画像、動画を発信するコンテンツのことです。
手軽にリアルタイムで情報を発信できるため、認知拡大や顧客との直接的なコミュニケーションに適しています。また、フォロワーの反応をすぐに確認できるため、ユーザーの関心やニーズを把握するためのツールとしても活用されます。
SNSのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・拡散力が強く、投稿してからすぐに効果が出やすい ・ハッシュタグやコメント機能を活用して、ターゲットと直接交流できる ・アカウント作成や運用開始のコストが低く、投稿だけならコストがほぼかからない |
デメリット | ・一度の投稿では効果が長続きせず、継続的な発信が必要である ・ネガティブな反応も広がりやすい |
SNSは特に若年層の利用が顕著で、彼らは日常的にSNSを使って情報収集やトレンドの把握を行っています。
実際、総務省の調査によると、20代のX(旧Twitter)利用率は81.6%、Instagram利用率は78.8%と非常に高く、全年代の利用率である49.0%(X)や56.1%(Instagram)を大きく上回っています。このことからも、若年層に対して効果的にアプローチするためには、SNSは欠かせないコンテンツであるといえます。
出典:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書|総務省
動画投稿
YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームやテレビを通じて、自社商品やサービスを強く訴求できるコンテンツです。動画投稿のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・ユーザーの視覚・聴覚を活用して、テキストでは伝わらない魅力を強く訴求できる ・多くの情報を短時間で伝えられるため、商品の利用方法やレビューの紹介もできる |
デメリット | ・制作コストが大きい傾向にある ・低品質の動画を作るとブランドイメージの低下につながる |
動画投稿は、商品やサービスの魅力を視覚的に分かりやすく伝えられるため、美容業界やアパレルなど、ビジュアルが重要な分野で特に高い効果を発揮します。
例えば、美容関連では、メイクやスキンケア製品の使用前後の変化を動画で紹介することで、商品の効果を視覚的に示し、顧客にリアルなイメージを持ってもらうことができます。
メルマガ・ニュースレター
メルマガ(メールマガジン)やニュースレターは、ユーザーに向けて定期的にプロモーション情報、メディアの更新、特典などを配信するコンテンツです。
購読者に直接届けられるため、ターゲット層との接点を保ち、関心を引き続けるのに効果的です。また、メール内で特集記事やキャンペーンを案内することで、顧客との関係を深め、購買や利用を促進する役割を果たします。
メリット | ・すでに自社へ関心のあるユーザーに訴求できる ・ユーザーと直接接触できて、接触回数も増やせる ・文面の作成と配信のみなので、コストが低い傾向にある |
デメリット | ・開封率が低い場合がある ・記事などと比べると、盛り込める情報量が限られる |
メルマガやニュースレターは、ターゲットに応じて発信内容を細かく調整できる柔軟性の高いツールです。
例えば、購入した商品に関連するセール情報の配信や、読者の居住地域に合わせたイベント案内を行うことで、より精度の高いアプローチが可能です。
ただし、文字数や記載量が限られるため、訴求内容と購読者リストが適切に一致しているかを定期的に確認し、内容が的確に届くよう管理することが大切です。
プレスリリース
プレスリリースとは、企業が新商品やサービス、イベントなどの情報を報道機関やメディアに発表するために使用するコンテンツです。メディアを通じて広範なオーディエンスに情報を届けられるため、認知拡大や話題作りに効果的です。また、信頼性のあるメディアで取り上げられることで、ブランドイメージ向上にもつながります。
プレスリリースのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・ニュースとして取り扱われるため、情報の信頼性が高いと捉えられる ・短期間で情報が広く拡散される ・自社メディアへの被リンクの獲得や認知度の向上につながる |
デメリット | ・メディアに取り上げられる保証はない ・タイムリーでなければ効果が薄くなる |
プレスリリースは、有料広告と比べて費用が抑えられ、中小企業でも限られた予算で大きな宣伝効果を得られる手段のひとつといえます。
例えば、自社のイベントや記念行事に合わせて、自社に関するストーリーなど共感を得やすい内容のプレスリリースを打ち出す、などが一例です。共感を得やすい内容は、SNSなどでシェアされやすく、広範囲への拡散により自社のさらなる認知度向上につながります。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、ユーザーが自社サービスに興味を持った際、メールアドレスなどの情報を提供することでダウンロードできるコンテンツです。
通常、業界の知識や問題解決の手法、自社サービスの詳細な活用方法などが記載されており、ユーザーにとって価値ある情報を提供します。これにより、見込み顧客のリード情報を収集し、リードナーチャリング(育成)に役立つ重要なツールとなります。
ホワイトペーパーのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・見込み顧客の商品・サービスに対する理解を深めて、購買意欲を高められる ・ダウンロード時に取得した顧客情報をもとに、新たなマーケティング施策を打てる |
デメリット | ・単体では活用しにくく、オウンドメディアやSNSなどを活用してダウンロードを促す必要がある ・内容が専門的な場合には、制作に時間がかかる |
ホワイトペーパーは、特にBtoBマーケティングで広く活用されています。BtoBの企業では、社内の複数の決裁者が関与し、購買プロセスが長くなる傾向があるため、ホワイトペーパーは信頼を得るための分かりやすい資料として活用されます。
企業が自社の専門知識や実績を伝えることで、決裁者からの信頼を得やすく、購買意欲を高める効果が期待できます。
セミナー・説明会
セミナーや説明会は、企業が顧客や取引先に対して、自社のノウハウや商品情報を効果的に伝えるために行うプレゼンテーション形式のイベントです。
特に、オンライン形式のウェビナー(Webinar)であれば、リモート環境でも多くの参加者に情報を届けることができます。
セミナー・説明会のメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・リアルタイムでユーザーと交流でき、双方向のやり取りも可能 ・テキストや画像だけでは分かりにくい魅力や価値を伝えられる ・申し込み時に顧客情報(メールアドレスなど)を獲得できる ・録画した内容をアーカイブとして公開し、動画として活用できる |
デメリット | ・参加者を集めるための施策が必要となる ・準備や技術的な課題(接続トラブルなど)が発生しうる |
セミナーや説明会は、他のコンテンツでは難しいリアルタイムのやり取りが可能で、顧客との信頼関係を深めるのに役立ちます。
特に、数カ月から数年にわたる継続的な契約が必要な自社サービスの販促など、信頼関係が鍵となるケースでは効果的です。直接的な質疑応答や対話を通じて顧客の疑問や不安を解消し、安心感を提供することで、長期的な関係構築に繋がります。
ランディングページ(LP)
ランディングページ(LP)とは、ユーザーが最初に閲覧するウェブページのことで、商品やサービスの魅力を効果的に伝え、問い合わせや購入といったアクションにつなげることを目的としています。
一般的に、シンプルで分かりやすいデザインや訴求内容が重視され、特定のキャンペーンや商品の宣伝にもよく利用されます。
ランディングページのメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | ・広告やメールなどからアクセスしたユーザーを特定の行動に誘導しやすく、コンバージョン率が高い傾向にある ・商品やサービスごとにページを作成できる ・デザイン性が高く、強い訴求ができる |
デメリット | ・設計が悪いと離脱率が高まるため、専門的なノウハウが求められる ・A/Bテストなどによる継続的な改善も必要となる |
ランディングページで顧客の興味を引きつけた後、オウンドメディアの記事でさらに信頼性を高めていくなど、他のコンテンツと併用することで効果を最大化できます。
目的別に見るコンテンツマーケティングの手法
コンテンツマーケティングでは、目的に応じて最適な手法が異なります。
ここでは、顧客の心理や行動を可視化するカスタマージャーニーを踏まえながら、各段階に適した手法を紹介します。カスタマージャーニーの具体例は以下の通りです。
段階 | 説明 |
認知 | 商品やサービスを初めて知る段階 |
興味・関心 | 商品やサービスに対する関心が芽生え、より詳しい情報を求める段階 |
比較・検討 | 他社との比較を行い、自社商品やサービスの購入を真剣に考え始める段階 |
購入 | 商品やサービスの購入を最終的に決定する段階 |
リピート | 再度の購入やロイヤルカスタマー化が起こる段階 |
それぞれの段階に合った手法を詳しくみていきましょう。
認知を広げるための手法
顧客がブランドを初めて知る段階では、拡散力が大きく、多くのユーザーにリーチできる以下の手法が効果的です。
コンテンツ | 活用方法 |
オウンドメディア | ・特定の検索キーワードで上位表示されることを狙い、商品やサービスに関連する記事コンテンツで顧客にリーチする ・業界の最新情報やトレンドなどを分かりやすく解説する記事など |
SNS | ・シェアやリツイートを促す内容で、フォロワー以外の潜在顧客にリーチする ・ハッシュタグやビジュアルを工夫し、目を引くコンテンツを作成する |
プレスリリース | 新商品のリリースや自社の重要なニュースを、業界メディアやニュースサイトで発表する |
多くのユーザーの目に触れさせたい場合はSNSを積極的に活用するなど、目的に合った手法を選定しましょう。
興味・関心を引くための手法
顧客が商品やサービスの詳しい情報を求めて、信頼関係を築く段階では、深い知識や魅力を伝える以下の手法が有効です。
コンテンツ | 活用方法 |
オウンドメディア | ・ユーザーの抱える課題や悩みに対する解決策を提示して、信頼感を醸成する ・自社ならではの知見やノウハウを活かした役立つ記事コンテンツなど |
動画投稿 | ・テキストでは伝わりにくい商品やサービスの魅力を視覚的に説明する ・商品を実際に使っている場面を撮影したり、顧客の声をストーリーでまとめたりする、など |
ホワイトペーパー | ・商品やサービスの概要を紹介する記事の最後に配置して、ダウンロードを促す ・テキストやインフォグラフィック(※)などを活用して、商品などの魅力を分かりやすくまとめる |
※グラフやアイコン、イラストなどを使って、情報やデータを視覚的に分かりやすく伝えるためのグラフィックコンテンツ
上記のように、テキストのみにこだわらず、動画やインフォグラフィックを積極的に活用して訴求力を高めましょう。
比較・検討をサポートするための手法
比較・検討の段階では、他社と比較したときの自社商品の優位性を強調できる以下の手法が適しています。
コンテンツ | 活用方法 |
オウンドメディア | ・実際に商品・サービスを利用した顧客の声を集めて、購入に迷うユーザーに安心感を与える ・導入事例などを分かりやすくまとめた記事コンテンツを制作する |
セミナー・説明会 | ・商品やサービスの魅力や他社との違いに関して、担当者が専門的な観点から詳しく解説する ・顧客に対する質問や不安の声にも丁寧に答える |
ホワイトペーパー | 自社と競合他社の商品の特徴を並べて比較し、性能や価格面での優位性を明確にする |
このように、他社との違いやユーザーの生の声などを取り入れることで、より説得力の高いコンテンツになります。
購買意欲を引き出すための手法
顧客が購入を最終的に決定する段階では、購入を後押しする以下の手法が重要です。
コンテンツ | 活用方法 |
オウンドメディア | 記事コンテンツなどにより、商品の購入前の悩みや購入後の効果などを訴求して、最終的な購入を後押しする |
ランディングページ(LP) | ・自社商品やサービスの特集ページを作り、ユーザーの課題を解決できるストーリーを分かりやすく訴求する ・期間限定のキャンペーンや割引情報などを掲載する |
メルマガ・ニュースレター | ・商品やサービスの最新情報を伝える ・購読者限定のクーポンや割引情報を提供し、購買を促進する |
商品・サービスを比較するコンテンツや、購買意欲を引き出すコンテンツは、ユーザーの意思決定に強い影響を与えるキラーコンテンツと呼ばれます。
集客コンテンツで認知拡大を図り、キラーコンテンツで商品・サービスの購入を強力に後押ししましょう。
リピートを促すための手法
顧客の自社のサービスや商品に対する信頼を深め、長期的に利用し続けるよう働きかけるには、以下の手法が適しています。
コンテンツ | 活用方法 |
オウンドメディア | ・顧客への限定公開記事などによって、特別感を演出する ・新商品やサービスに関する情報の優先公開や、限定イベントへの招待など |
ランディングページ(LP) | ・購入後も定期的に情報を発信して、顧客との接点を持ち続ける ・商品やサービスに関係する新しい情報や便利な使い方を伝えるなど |
セミナー・説明会 | 顧客のみが参加できるセミナーや交流イベントなどを開催して、関係を強化する |
いずれの場合も、既存顧客のみに限定した情報や価値を提供することで、信頼関係の強化につながります。
成功するためのコンテンツマーケティングの種類の選び方
コンテンツマーケティングの種類を検討する際には、自社のマーケティング戦略に合ったコンテンツを選ぶことが成功の鍵です。
コンテンツの種類によって目的や効果が異なるため、戦略と方向性が合わないものを選ぶと、リソースが無駄になりかねません。マーケティングの目的やターゲットを明確にし、顧客のフェーズごとに最適なコンテンツを選ぶことが重要です。
例えば、新規顧客獲得が目的の場合、まずはオウンドメディアを活用して商品・サービスの認知拡大に注力する方法が考えられます。ターゲットが30代の子育て中の母親であれば、育児や生活のヒントをテーマにしたコンテンツを通じて信頼を得ることも有効です。
また、フェーズごとに適した手法を組み合わせると効果が高まります。自社での戦略構築が難しい場合は、専門会社に外注し、徐々に内製化を進めるのも一つの方法です。
まとめ
コンテンツマーケティングでは、オウンドメディアやSNS、動画投稿などさまざまな種類のコンテンツを組み合わせる必要があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、目的やターゲットに応じて適切に使いわけることが重要です。
マーケティングの目的やターゲットを再確認して、顧客の心理や行動を考慮しながら最適なコンテンツを選択しましょう。