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コンテンツマーケティングとオウンドメディアの違いとは?
コンテンツマーケティングとオウンドメディアの違いは、その「役割」にあります。コンテンツマーケティングは、マーケティングの戦略であり、コンテンツを通じて自社の認知度を高めたり、売上向上を目指す手法です。
一方、オウンドメディアは、その戦略を実行するための「媒体」を指します。例えば、業界のトレンドを解説する記事を企業のWebサイトに掲載する場合、このブログ記事はコンテンツマーケティングの一環であり、そのWebサイトがオウンドメディアとなります。
つまり、オウンドメディアは、コンテンツマーケティングを行うための重要な土台と言えます。
それぞれの特徴や活用のポイントを詳しく解説していきます。
コンテンツマーケティングの特徴
コンテンツマーケティングは、顧客に役立つ情報を発信して信頼関係を築き、最終的に購買意欲を高めるマーケティング手法です。
これは、広告のように直接的に「買ってください」とアプローチするのではなく、顧客が抱える疑問や悩みに答える情報を提供し、自然と自社の商品やサービスへの興味を引き出します。
例えば、カメラのメーカーが「写真撮影のコツ」をテーマに企業ブログを公開する場合を考えてみましょう。このブログには初心者でも分かりやすい撮影テクニックが紹介されています。
記事を読んだ顧客が「役立った」と感じれば、そのメーカーに対する信頼感が高まり、他のページにも興味を持つでしょう。さらに、記事や関連ページに自社のカメラやアクセサリー、レンタルサービスの情報が掲載されていれば、自然とそれらに興味を持ち、購入を検討する可能性が高まります。
このように、顧客にとって価値のある情報を発信することが、コンテンツマーケティングの大きな特徴です。
オウンドメディアの特徴
オウンドメディアは、自社が主体となり運営し、自由に内容を管理・発信できる媒体のことです。「オウンド(Owned)」には「所有する」という意味があり、その名の通り、自社の商品・サービスに関する情報を発信する場として活用されます。
つまり、カメラメーカーが「写真撮影のコツ」を通じて、顧客の役に立とうとするのがコンテンツマーケティング、その情報を発信する場として運営されるのがオウンドメディアという関係です。
ちなみに、オウンドメディアは、コンテンツマーケティングの手法である「トリプルメディア」のひとつに位置します。トリプルメディアとは、企業がマーケティング活動で活用する以下の3種類のメディアを指します。
メディア | 主な役割 | コンテンツの例 |
ペイドメディア | 見込み顧客に幅広くアプローチする | リスティング広告、動画広告など |
アーンドメディア | 情報の拡散力を活かして認知度・評判を高める | SNS投稿、口コミ・レビューなど |
オウンドメディア | 価値ある情報提供を行い、顧客との関係を強化する | コーポレートサイト、企業ブログ、ECサイトなど |
オウンドメディアは、他のメディアと組み合わせることで、マーケティングの効果をさらに高めることができます。
例えば、オウンドメディアで公開した専門的な記事が、SNS(アーンドメディア)でシェアされると、情報の拡散力が高まり、新しいユーザーへの認知拡大が期待できます。
このように、オウンドメディアはコンテンツマーケティングにおける「価値ある情報提供」の中心的な存在であり、長期的な顧客育成やブランド価値の向上に欠かせない媒体です。
コンテンツマーケティングにおけるオウンドメディアの役割
コンテンツマーケティングにおいて、オウンドメディアは以下のような重要な役割を果たします。
・見込み顧客のリード獲得
・ブランディング
・ナーチャリング
・採用
オウンドメディアを活用する最大のメリットは、長期的な資産として運用できる点です。特に、SEO(検索エンジン最適化)を施した記事を作成すれば、継続的に見込み顧客を集める仕組みを築くことができます。
これにより、広告費を抑えながらも効率的に集客を行うことが可能です。
見込み顧客のリード獲得
オウンドメディアを活用して、潜在顧客の疑問や悩みに答えるコンテンツを発信することで、見込み顧客との接点を生み出せます。商品やサービスに関心を持ってもらうには、潜在顧客が抱える課題や不安を解決する情報を提供することが重要です。
例えば、企業ブログで「初心者向け〇〇の選び方」や「〇〇を成功させるための5つのポイント」といった記事を公開することで、検索ユーザーの興味を引きつけることができます。
さらに、これらの記事に問い合わせフォームや資料請求ページへのリンクを設置することで、スムーズにリード獲得へつなげることが可能です。
ブランディング
オウンドメディアを活用して、企業の理念や専門性を反映したコンテンツを提供することで、ブランドイメージを強化できます。自社ならではの視点や情報を継続的に発信することで、ユーザーに強い印象を与え、自社の特徴をアピールできます。
例えば、健康食品メーカーが栄養や健康に関する専門的な情報を定期的に発信することで、「信頼できる健康の情報源」というブランドイメージを築けます。また、ファッションブランドであれば、新商品の開発ストーリーを公開し、ブランドの世界観や魅力を伝えることで、より深い共感を得ることができます。
このように、オウンドメディアを通じたブランディングは、他社との差別化にも大きく貢献します。
ナーチャリング
オウンドメディアには、潜在顧客を顕在顧客へ、さらに優良顧客やブランドのファンへと育成する役割があります。顧客が求める情報を段階的に提供することで、購入意欲を高めるだけでなく、購入後のリピーター獲得にもつながります。
例えば、新規顧客には「〇〇の基本的な使い方」を紹介する記事を提供し、購入後には「応用テクニック」や「トラブルシューティング」の情報を発信することで、満足度を向上させることができます。
さらに、既存顧客向けには、最新情報やメンバー限定コンテンツを提供し、特別感を演出することで、優良顧客への成長を促せます。
このように、オウンドメディアをナーチャリング(顧客育成)に活用することで、顧客との長期的な関係を築き、リピーターを増やすことが可能です。
採用
オウンドメディアを活用して、自社の理念や社風を発信することで、採用活動を強化することができます。企業の文化や働き方、従業員の声を具体的に伝えることで、求職者に自社の魅力を効果的にアピールし、ミスマッチを防ぐことが可能です。
例えば、自社ブログに「社員インタビュー」や「職場環境を紹介する記事」を掲載し、働く雰囲気や具体的な業務内容を発信することで、求職者が自社をより深く理解できるようになります。
このように、自社の独自性を活かした情報発信と、幅広い求職者層へのリーチを実現できるのが、オウンドメディアを採用に活用する大きなメリットです。
7ステップ!オウンドメディアの運用方法
コンテンツマーケティングとしてのオウンドメディア運営は、以下のステップで進めると効果的です。
1. 目的を明確にする
2. ターゲットを設定する
3. メディアに必要な機能を決める
4. プラットフォームとCMSを選定する
5. 制作の工程と運用体制を決める
6. コンテンツを制作する
7. 分析と改善を行う
それぞれを詳しく解説します。
目的を明確にする
まず、マーケティングの目的を決めます。例として「認知度の向上」「商品・サービスの成約」「ブランディング」などが挙げられます。
ターゲットを設定する
ペルソナを具体的に定義します(性別、年齢、職業、ライフスタイルなど)。これにより、コンテンツの方向性が明確になります。
メディアに必要な機能を決める
ユーザー体験を向上させるため、検索機能やコメント機能など、メディアに必要な機能を選定します。
プラットフォームとCMSを選定する
メディアのドメインを準備し、サイト構築を簡単に行うためのCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)を選びます。
制作の工程と運用体制を決める
コンテンツ制作の工程(企画、制作、公開、効果分析など)やスケジュールを決め、自社で運営するか外部委託するかを決定します。
コンテンツを制作する
ユーザーにとって有益で、かつ見やすい記事や動画コンテンツを作成します。ここは、社内のリソースに応じて内製または外注を検討しましょう。
分析と改善を行う
Google Search ConsoleやGoogleアナリティクスを活用し、検索結果やアクセスデータを分析。得られた結果をもとにコンテンツの改善を進めます。
これら上記のステップで運用することで、ターゲットに響くコンテンツを発信でき、マーケティング効果を最大化できます。
より具体的な立ち上げ工程を学びたい方は、以下の記事をぜひ参考になさってください。
コンテンツマーケティングに成功したオウンドメディアの事例
オウンドメディアを運用する際には、他社の成功事例を参考にしながら運用方針を立てることが重要です。ここでは、オウンドメディアを活用して自社のブランド強化やリード獲得に成功した事例を紹介します。
株式会社Dr.トレーニング
株式会社Dr.トレーニングは、「一瞬ではなく、一生モノの身体づくり。」をミッションに、パーソナルトレーニングジムを運営する企業です。
目的 | 見込み顧客のリード獲得・認知拡大 |
ターゲット | 健康やフィットネスに興味を持つ幅広い世代 |
テーマ | 一瞬ではなく、一生モノの身体づくり |
主なコンテンツ | トレーニングの方法や健康維持に関するノウハウ記事、初心者向けエクササイズ情報など |
新規出店エリアで競合が増加した影響で、サイト経由の問い合わせ数が減少していました。この課題に対し、同社の専門性を活かしたコンテンツを作成し、ブランドイメージを維持しながら集客力の向上を図りました。
その結果、3カ月でPV数が2倍に増加。さらに、問い合わせや入会者数も増加するなど、具体的な成果を達成しました。
出典:パーソナルトレーニングジムのコンテンツマーケティング事例!わずか3カ月でPV/CV数が倍増
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社は、グループウェアや業務改善サービスを提供し、企業の働きやすさを支援する企業です。
同社が運営するオウンドメディア「サイボウズ式」は、働き方改革やチームワークに関するコンテンツを発信し、ブランド価値向上を実現した成功事例です。
目的 | 採用・ブランディング |
ターゲット | 多様な働き方やチーム運営などに関心を持つビジネスパーソン |
テーマ | 新しい価値を生み出すチームのメディア |
主なコンテンツ | チーム運営のコツ・働き方改革に関するインタビュー記事、従業員の体験談など |
そのほかにも、オウンドメディアはさまざまな背景で色んな企業が運用されています。以下では、成功事例をまとめています。ぜひご参考になさってください。
まとめ
コンテンツマーケティングは、価値ある情報を提供して顧客の信頼を得るための戦略全般を指し、オウンドメディアはその情報を発信する基盤となる媒体です。
オウンドメディアは、SEO対策を活用することで、コストを抑えながら効果的にマーケティングを展開できます。リード獲得、ナーチャリング、採用活動など、さまざまな目的で活用できるのが特徴です。
成功の鍵は、目的やターゲットを明確にし、オウンドメディアを戦略的に運用することです。ただし、運用には時間と労力が必要なため、リソースが不足している場合は、専門会社への外注を検討するのも有効です。プロのノウハウを活用すれば、効率的に成果を上げることができます。