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マーケティングは「売り込み」から「探してもらう」時代
インターネットが普及し、消費者が商品の情報を自ら集める現代では、価値ある情報を届けるコンテンツマーケティングの必要性が高まっています。コンテンツマーケティングにより、信頼できる情報源を探している消費者に対して有益な情報を提供することで、信頼関係を構築できるためです。
コンテンツマーケティング以外の代表的な手法であるインターネット広告は、信頼獲得の面で限界があります。なぜなら情報収集の際に売り込み型の広告が出ると、ユーザーは求めている情報とは違うと考え、避けてしまう恐れがあるからです。
実際に日本インタラクティブ広告協会の調査によると、インターネット広告へのユーザーの信頼度は、2019年は23.5%、2021年は23.1%、2022年は22.3%と減少傾向です。
一方、売り込みだけでなく有益な情報を伝えるコンテンツマーケティングは、信頼度の高さから成果につながりやすくなります。
出典:2022年 インターネット広告に関するユーザー意識調査(定量)調査結果|一般社団法人 日本インタラクティブ広告協会
コンテンツマーケティングのメリット
コンテンツマーケティングの主なメリットは、以下の6つです。
・制作したコンテンツは資産となる
・顕在層から潜在層まで幅広くアプローチできる
・顧客ロイヤリティを高められる
・良質なコンテンツは拡散されやすい
・専門家としての市場認知度が高まる
・大きなコストをかけずに始められる
それぞれ詳しく解説します。
制作したコンテンツは資産となる
制作したコンテンツは、削除しない限りインターネット上に残り続け、資産になることがメリットです。自社のサーバーや既存の無料のプラットフォームを活用するため、少ないコストでコンテンツを保持し続けられます。
例えば、オウンドメディアの記事の場合、毎月の投稿で記事が増え続け、定期的な更新作業をすれば集客などに効果を発揮し続けます。また、ホワイトペーパーを一度作れば、ブログ記事やメルマガ、SNSでの紹介など、さまざまな種類のコンテンツで再利用が可能です。
一方、従来のインターネット広告は資産性がなく、広告の掲載を中止すると、コンバージョン(ユーザーが購入など利益につながるアクションをすること)を獲得できなくなります。
長期的にみると、出稿の度に費用のかかる従来の広告に比べて、広告費を大きく削減できる可能性もあります。
顕在層から潜在層まで幅広くアプローチできる
コンテンツマーケティングは、顕在層から潜在層まで幅広くアプローチできます。ユーザーのニーズに応じて異なるキーワードで集客し、ターゲットごとに有益な情報を発信できるためです。
例えば、化粧品の場合、顕在層は「化粧水 比較」や「美容液 口コミ」などの購入に近いキーワードで情報を調べます。そこで、商品購入の後押しとなる自社商品のメリットなどを伝えることで、商品の売上向上が期待できます。
一方、潜在層は「肌あれ 原因」などのキーワードをもちいて、自分の課題を解決するために、情報収集している段階です。そのため、まず美容に関する有益な情報を伝えることで、自然に購入へとつなげるアプローチが効果的といえます。
特に、複数のコンテンツやページを回遊させるなかで、ユーザーの信頼感を高めて、見込み顧客へと育成できるのが強みです。
その際、コンテンツに蓄積されたユーザーの情報(滞在時間や成約率など)を活用して、コンテンツの質向上に役立てられる点もメリットです。
顧客ロイヤリティを高められる
コンテンツマーケティングは、顧客との関係を深めて、商品・サービスのリピート率向上が期待できます。自由度高く制作したコンテンツを通じて、自社・ブランドへの愛着や忠誠心を高められるためです。
例えば、ブランドが生まれた背景やストーリーが伝わる記事などにより、顧客はブランドに対して信頼感を抱きやすくなります。購入意欲のある顧客に対して、限定セールの情報や会員限定コンテンツを提供するのも効果的です。
こうした施策に満足感を抱く既存顧客は、SNSなどでコンテンツを別のユーザーに共有する場合があります。結果として、企業やブランドの影響力がますます高まる効果も期待できます。
良質なコンテンツは拡散されやすい
良質なコンテンツは多くのユーザーに拡散されやすく、自社や商品の認知度向上に役立てられる点もメリットのひとつです。SNSなどとの相性が良く、ユーザーが有益だと感じるコンテンツであれば、ワンクリックで簡単に拡散されるためです。
例えば、企業独自のノウハウや経験を活かしたお役立ちコンテンツであれば、同じ課題を抱えるユーザー間で拡散される可能性が高くなります。
また、プレスリリースや他社メディアにコンテンツが取り上げられることで、認知が広まる場合もあります。
自社メディアへのリンクやサイテーション(サイト名や企業名などが、他サイトに掲載されること)により、検索エンジンに評価され、上位表示されやすくなるのもポイントです。
専門家としての市場認知度が高まる
良質なコンテンツを定期的に発信すると、その分野における専門家としての地位を確立でき、自社のブランドイメージを強化できます。
企業やブランドが専門的な知識や情報を提供することで、顧客からの信頼が得られ、口コミや紹介によって市場の影響力が高まるためです。
市場での影響力が強化されると、メディアに取り上げられる機会や著名人とのタイアップなどが増え、自社の認知度がさらに高まる可能性があります。
「〜であればこの企業」といった認知がされれば、商品やサービスが選ばれやすくなります。
大きなコストをかけずに始められる
コンテンツマーケティングは、従来のテレビCMやインターネット広告と比べて、大きなコストをかけずに開始できることがメリットです。自社で業務が完結する場合、コンテンツマーケティングの主なコストは人件費と初期費用などに限られます。
例えば、オウンドメディアの場合、初期費用はサーバーやドメインなどの費用のみです。SNSはX(旧Twitter)やInstagramなど既存のプラットフォームを使えば、コストをかけずに始められます。
ただし、より質の高いコンテンツを制作するために外注を利用するなら、一定のコストがかかる点には注意が必要です。
コンテンツマーケティングのデメリットや注意点
コンテンツマーケティングの主なデメリットや注意点は、以下の3つです。
・コンテンツの作成・更新に手間がかかる
・効果が出るまでに時間がかかる
・成果指標の適切な設定が容易ではない
それぞれ詳しくみていきましょう。
コンテンツの作成・更新に手間がかかる
コンテンツマーケティングで魅力的なコンテンツを製作するには、大きな手間がかかります。コンテンツの作成・更新には、戦略策定やコンテンツ制作、デザイン、効果分析など、多岐にわたる業務が必要なためです。
例えば、3,000文字程度の記事作成であっても、キーワード選定やアイキャッチ画像の作成、購入までの導線の設計など必要な作業が多くあります。
また、情報が古くなるとユーザーの関心を引き続けられないため、一度作成したコンテンツは必要に応じて定期的に見直すことも重要です。
通常業務とあわせて実施する場合は、長期的な目線で社内体制を整えないと途中で頓挫してしまう可能性があるので、注意が必要です。
効果が出るまでに時間がかかる
コンテンツマーケティングは、開始してから目に見えるかたちで成果を実感できるまでに時間がかかります。ターゲットにリーチしてから見込み顧客となり、実際の売上につなげるまでには、長期的な視点が不可欠です。
例えば、オウンドメディアの場合は、検索エンジンに評価されて上位表示されるまで、半年程度はかかる傾向にあります。また、潜在顧客を対象とするコンテンツは、認知を獲得してから信頼関係を築き、購入を促すまで多くの時間が必要です。
短期で成果の出やすいインターネット広告などともうまく組み合わせながら、自社のマーケティング戦略を立案することが重要です。
成果指標の適切な設定が容易ではない
コンテンツマーケティングは、効果を図るための成果指標の設定が容易ではない点もデメリットのひとつに挙げられます。特に、作成したコンテンツの質などは、必ずしも客観的に数値化できるものではないためです。
一方、数値化できる成果には、適切にKPI(重要業績評価指標)を設置する必要があります。例えば、オウンドメディアなら記事数やPV数(※1)、CV数(※2)などをKPIに設定して、定期的に結果を分析することが大切です。
KPIにより戦略の修正や改善策の立案が可能になり、効率的な集客や売上増加につながります。
※1 ページビュー数:特定のページが何回閲覧されたかを示す数値
※2 コンバージョン数:ユーザーが購入など利益につながるアクションをした数
コンテンツマーケティングのメリットを最大化する成功戦略
コンテンツマーケティングのメリットを活かし、効果を最大限発揮するためには、あらかじめ自社体制を整備する必要があります。コンテンツマーケティングの業務は戦略策定やコンテンツ制作、効果分析など幅広く、時間や手間が大きくかかるためです。
社内で進める際には、全体の責任者を決めた上で、社員のスキルやリソースを踏まえ、担当者の役割分担を明確にすることが重要です。各業務の担当が不明確で、手が空いている社員が着手する状態だと、業務に対する社員の意識を保ちにくくなります。
コンテンツマーケティングの業務のリソース確保が難しい場合には、専門の会社へ外注するのも選択肢のひとつです。一定のコストはかかるものの、専門性が高く成果につながる支援を受けられます。
まとめ
コンテンツマーケティングには、良質なコンテンツが資産となり拡散されやすい、大きなコストをかけずに始められるなど幅広いメリットがあります。
一方、コンテンツの制作には時間や手間が必要です。また、成果を出すためには、社内の責任者を明確にするなど体制整備が重要といえます。
あらかじめ自社の体制を整えて、自社の売上向上やブランディングにつながるコンテンツマーケティングを実施しましょう。