目次
テクニカルSEOとコンテンツSEOの違いは「ターゲット」
テクニカルSEOとコンテンツSEOはどちらも内部施策と呼ばれています。同じ内部施策といっても、テクニカルSEOとコンテンツSEOでは、施策のターゲットや修正する部分などが異なります。
テクニカルSEOのターゲットは検索エンジン
テクニカルSEOは、ウェブサイトの構造データを修復したり最適化したりするのが主な施策です。ウェブサイトの情報を、検索エンジンのクローラーに正しく読み取ってもらうことを目的としています。
ウェブサイトのゴールはブランディングや集客などです。ただし、テクニカルSEOがアプローチするのはユーザー(顧客)ではなく、検索エンジンになります。
コンテンツSEOのターゲットはユーザー
コンテンツSEOは、ウェブサイトに記事などユーザー向けのコンテンツを作成することで集客につなげる施策です。質が良くユーザーにとって有益なコンテンツが多ければ、検索順位でも上位表示されやすくなり、集客力アップが期待できます。
テクニカルSEOが検索エンジンを念頭に置いた施策を行っているのに対して、コンテンツSEOはユーザーをターゲットとしています。
テクニカルSEOのメリットと注意点
テクニカルSEOは、いくつかのメリットがあります。一方で、施策に取り組むときに意識すべき注意点もあげられます。
テクニカルSEOのメリット
テクニカルSEOにおけるメリットは、2つです。
■メリット1.施策が明確で定型化しやすい
ある程度手法が確立しているのがテクニカルSEOです。Googleのウェブマスター向けガイドラインを遵守しつつ、基本どおりに施策を行えば結果が出る可能性が高いです。
やるべきことが明確なため、SEOに関する知識や経験が少なくても適切な施策を行えます。
■メリット2.施策の効果が分かりやすい
行った施策について、効果を可視化できることもメリットです。専用ツールを利用すれば、施策前後の変化が数値となって現れます。
コンテンツSEOと比べると、検索エンジンのアルゴリズムに対するアップデートの影響を受けにくい特徴ももっています。
テクニカルSEOの注意点
テクニカルSEOを行うときは、いくつかの注意点も把握したうえで取り組むことが重要です。主にあげられる注意点は下記のとおりです。
■注意1.既存システムの制限を受けやすい
ウェブサイト運営で使用しているCMSやサーバーによっては、打てる施策に制限が生じます。
既存システムとの相性も考慮しなくてはならず、場合によってはサイトのシステム自体を変更する必要があります。
■注意2.効果が現れるまで時間がかかりやすい
他の施策と同じく、テクニカルSEOも効果が現れるまで時間を要します。
施策を実践した直後から検索順位が上昇することはありません。短期的な効果を狙うのではなく、中長期的なプロジェクトとして取り組むことが重要です。
■注意3.施策にリソースがかかる
テクニカルSEOは、仮に専門会社に依頼するとしても社内リソースがかかります。外注コストはもちろん、担当者同士の打ち合わせや確認作業といった工数が必要となることも視野に入れなくてはなりません。
また、運用にもリソースがかかります。コンテンツと同じく、テクニカルSEOも定期的なメンテナンスが不可欠です。
たとえばコンテンツの更新や追加にともなうエラーの修正、アルゴリズムのアップデートに合わせた最適化など、テクニカルSEOも「一度作業すれば終わり」とはならない施策が多くあげられます。
コンテンツSEOのメリットと注意点
コンテンツSEOは、高品質かつ有益性の高い記事を作成する内部対策です。既存の記事をリライトして、低品質なコンテンツの改善も行います。
ここでは、コンテンツSEOを行うメリットと注意点を紹介します。
コンテンツSEOのメリット
記事作成などを行うコンテンツSEOのメリットは、次のとおりです。
■メリット1.長期的に集客効果が期待できる
テレビCMやインターネット広告と異なり、自社サイトのコンテンツに掲載期限はありません。
意図的に削除しない限り、インターネット上でコンテンツのひとつとして長期的に集客効果を発揮してくれます。
■メリット2.プロモーション費用を抑えられる
広告費をかけずに長期間自社のコンテンツをインターネット上に掲載できるため、プロモーションにかける費用を最小限に抑えられます。
通常、広告を出そうとしたら1クリック何円、掲載1箇所で何百万円と莫大な料金が発生します。
コンテンツSEOなら、サーバー代やドメイン代などのランニングコストのみで運用できます。
コンテンツSEOの注意点
コンテンツSEOで作成した記事は、会社にとって重要な資産となります。一方で以下のような注意点もあるので、施策を行うときは慎重に検討しましょう。
■注意1.効果が現れるまで時間がかかる
テクニカルSEOと同じく、コンテンツSEOによる施策も即効性は期待できません。
検索エンジンにコンテンツを正しく理解してもらい、高く評価されてはじめて掲載順位が上昇します。
コンテンツを作成した直後は検索エンジンに認知もされていないため、効果が現れるまで時間がかかります。
■注意2.施策にはリソースがかかる
コンテンツSEOを行うためには、大前提として質の良い記事が必要です。社内で書けば工数が、専門会社に任せれば外注費が生じます。
専門性の高い分野でコンテンツを作成するとなれば、さらに専門家の監修も視野に入れなくてはなりません。
■注意3.作成後もメンテナンスが必要
作成したコンテンツは、こまめなメンテナンスが不可欠です。
たとえば求人系サイトで給与情報を掲載している場合、定期的に最新情報に書き換えなくては、コンテンツの情報が古くなってしまいます。
集客力を維持するためには、メンテナンスで常に新しく正しい情報を掲載する必要があります。
テクニカルSEOで行う作業とは
テクニカルSEOで行う作業は、検索エンジンがスムーズにウェブサイトの情報をインデックスできるよう、構造を整備することです。
代表的な施策として、クローラー対策とインデクシング対策があげられます。ここでは、各施策の概要を解説します。
クローラー対策
検索エンジンがウェブサイトの情報を集めるために使用しているのが、クローラーと呼ばれるロボットです。
クローラーがウェブサイト内の情報を正しく集められるように、テクニカルSEOでは下記のクローラー対策を行います。
■URLの正規化
内容が重複したコンテンツが複数ある場合、どの記事を検索エンジンに評価してもらうか指定する施策です。
設定しないまま放置していると、内容の重複で低品質と判断されたり、他に評価してほしいページのクロールが遅れたりします。
URLの正規化は、リダイレクトまたはcanonicalタグで設定します。
■表示速度の改善
ウェブページの表示速度が遅いと、ユーザーが途中で離脱する原因となりかねません。表示速度の改善を行い、スピーディーにページを閲覧してもらえるようにします。
具体的な施策は、余分な画像や動画の削除、画像ファイルの圧縮、スクロールに応じた読み込み設定などです。
■モバイル対応
総務省が令和3年が公表した「インターネット利用率」では、すべての都道府県でのスマホ利用者率が50%以上でした。
東京・千葉・大阪・京都・福岡など主要都市では70%を超えており、オンラインマーケットはスマホ利用者を想定して行うべきであると分かります。
出典:総務省「令和3年情報通信白書」
ウェブサイトのモバイル対応とは、スマホ利用者が快適に閲覧できるように設定することです。パソコン用の画面では全体が縮小されるため、スマホユーザーは何度も画面を拡大する手間が生じます。
あらかじめモバイル対応設定を行うことでユーザーの手間を省き、ストレスなく閲覧できるようにします。
自社サイトがモバイル対応できているかチェックするには、Googleの「モバイルフレンドリーテスト」の活用がおすすめです。
■サイトの階層構造の最適化
ユーザーが「自分はいま、どのページにいるのか」が分かるように、階層構造の最適化を行います。
階層構造の最適化は、カテゴリー設定が基本です。ユーザーの利便性を向上させると同時に、検索エンジンのクローラーがウェブサイト内を巡回しやすくなるため、クローラー対策の観点からも重要な施策です。
他にもパンくずリストやサイトマップの作成などがクローラー対策にあてはまります。サイト構造を整理するときの目安は、トップページから2クリック程度で目的のページに辿り着けるように設定することです。
■クロールエラー対策
クローラー対策でもっとも重要なのが、エラーを起こさないよう設定することです。クロールエラーが起こると、正確にインデックスされません。
検索順位を上げるためには、検索エンジンが正確にウェブサイトを評価できるよう、クロールエラー対策を行いましょう。
GoogleのSearch Consoleで各ページを見て、エラー表示されているところを適宜修正していくのが効率的です。
インデクシング対策
SEOは、ウェブサイト内の巡回をスムーズにさせるクローラー対策とともに、評価してほしい部分を正しくインデクシングしてもらうための対策も欠かせません。インデクシング対策として重視すべきポイントは、次の4つです。
検索エンジンのクローラー(ロボット)が、ウェブサイトの情報をデータベースに登録・保存することです。
■重複コンテンツを避ける
類似テーマやキーワードで複数のコンテンツが存在すると、クローラーの評価が分散されてしまいます。
また、自社・他社に関係なく似通ったコンテンツは、コピーコンテンツと見なされる(インデックス阻害となる)リスクもあります。
自社サイト内や他社サイトに重複コンテンツといえるページがないか、実際に検索してみて確認することが重要です。加えて、コピペチェックツールも活用しましょう。
■タグ・見出しの改善
titleやmeta descriptionなどのタグと、見出しも改善すべきポイントです。タグや見出しは、ユーザーや検索エンジンにどのような内容のコンテンツなのかを伝える役割をもっています。
シンプルかつ分かりやすく書くことを心掛け、重要なキーワードは前半に記すのがコツです。
モバイル端末では、タイトルや見出しは途中までしか表示されない場合もあります。前半に配置することで、重要なキーワードが隠れてしまう事態を防げます。
■画像の添付方法の改善
近年のクローラーは、テキストに加えて画像も認識できるようになりました。しかし、精度は高くないため、ウェブサイト側で認識をサポートする必要があります。
クローラーに画像を正しく認識してもらうための施策は、alt属性の設置が一般的です。
alt属性で画像の内容をテキストとして説明すると、クローラーはどのような画像が添付されているのか正しく理解できるようになります。画像ファイル名も、可能な限り英語で設定することが重要です。
■アンカーテキストの見直し
リンクの質だけではなく、アンカーテキストの内容も重要です。「詳しくはこちらで」「ここから」など遷移先の情報を記載していないアンカーテキストを張っていないでしょうか。リンク先のページタイトルなど、内容がわかるようなアンカーテキストを記載しましょう。
他にも404エラーや301リダイレクトの設定といった、リンク切れ対策も必要です。
他のページへ誘導するリンクテキストのことを、アンカーテキストと呼びます。
コンテンツSEOで行う作業とは
コンテンツSEOの主な作業は、ウェブサイトの主要となるコンテンツの充実化です。検索エンジンのクローラーを主なターゲットとしているテクニカルSEOに対して、コンテンツSEOはユーザーをターゲットとします。
ユーザビリティの向上を目指した施策として、たとえば下記の方法があげられます。
各ページのtitleと見出しタグの最適化
コンテンツSEOの観点からも、各ページのtitleや見出しタグの最適化が不可欠です。titleと見出しタグの違いは、下記のとおりです。
・title:ウェブページのタイトル ・見出しタグ:ページ内の段落ごとの見出し |
titleは、検索エンジンで表示される各ウェブページのタイトルです。ユーザーの検索意図に沿ったタイトルを設定して、クリックを促す必要があります。
見出しタグは、ページ内に設定する各見出しのことです。
もっとも大きなh1はページ内のタイトルとしても使用されますが、titleのように検索エンジンでは表示されません。
ただし、titleタグが正しく設定されていない場合は、Googleがh1などの見出しを元に自動生成することがあります。
テクニカルSEOと同じく、重要なキーワードは前半部分に盛り込むことがポイントです。また、長すぎると途中で省略されてしまうため、それぞれ下記の文字数を目安に設定しましょう。
・title:最大32文字程度 ・見出しタグ:13~15文字程度 |
titleはあくまで最大32文字であり、必ずしもすべての文字が表示されるわけではありません。可能な限り短い文字数に抑えることを意識してください。
見出しタグに、文字数制限はありません。しかし、スマホユーザーの利便性を考慮すると、15文字以下に抑えることをおすすめします。
コンテンツの追加
SEOの内部施策として重視される施策のひとつが、コンテンツの拡充です。ターゲットの検索意図に沿ったコンテンツを掲載して、流入数の増加をはかります。
コンテンツの追加で重要なのは、キーワード選定です。
たとえば20代女性に韓国コスメを売りたい場合、「韓国コスメ 20代 女性」だけでは母数が多く、検索順位の上昇につながるコンテンツの作成は難しくなります。
ターゲットを絞り込み、検索意図に沿った内容のコンテンツを作成するためには、より細分化されたキーワードの選定が不可欠です。
ミドルワードやロングテールキーワードなど、複数のキーワードを組み合わせたニッチなニーズを見つけましょう。
ニッチなニーズを見つける方法は、キーワード選定ツールの活用やサジェストキーワードの調査がおすすめです。
実際にGoogleで「韓国コスメ 20代」を検索しようとすると、サジェストキーワード(検索候補のキーワード)として「韓国コスメ 20代 アンチエイジング」「韓国コスメ 20代 下地」などが表示されます。
自社がアンチエイジング向けのアイテムを取り扱っているなら、韓国コスメでおすすめのアンチエイジングアイテムを特集するのもひとつの手段です。
このように、サジェストキーワードやキーワード選定ツールの結果を参考にすると、追加すべきコンテンツが推測できます。
Googleアナリティクスで、自社サイトのどのキーワード関連が伸びているのか確認することも重要です。
すでに流入しているユーザーの隠れたニーズも参考にコンテンツ拡充を進め、検索意図に寄り添ったウェブサイトに成長させましょう。
テクニカルSEOとコンテンツSEOはどちらを優先する?
前述のとおり、テクニカルSEOとコンテンツSEOは、ターゲットが異なる施策です。検索エンジンのクロールを助け、正しくウェブサイトを評価・インデックスしてもらうためには、テクニカルSEOが欠かせません。
一方で、集客率向上のためには、ユーザー目線で利便性を向上させるコンテンツSEOも不可欠です。
どちらか一方を優先するのではなく、可能な限り同時進行で施策を行うべきといえます。
あえて取り組みやすさでいうと、評価指標があいまいなコンテンツSEOよりも、改善すべきポイントが分かりやすいテクニカルSEOのほうが始めやすい施策です。
自社サイトの状況やユーザー動向を参考に、優先すべき施策を判断してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ウェブサイトの検索順位を上昇させるためには、コンテンツSEOとテクニカルSEOの両方が必要です。質の高いコンテンツを作成するだけではなく、ウェブサイト構造やユーザビリティなども改善して、検索エンジンが正しく評価できるように対策しましょう。
未知株式会社では、コンテンツの提供に留まらず、幅広いサポートを行っております。テクニカルSEOの実績も豊富なうえ、ゼロからウェブサイト制作をお任せいただくことも可能です。
各企業さまのビジョンや伝えたい想いに寄り添い、ユーザビリティの高いウェブサイト制作をサポートしておりますので、まずは一度ご相談ください。