目次
ブランドパーパスって何?
そもそもブランドパーパスの定義とは、いったいどのようなものなのでしょうか。混同しやすいブランディングと比較しながら解説します。
ブランドパーパスとは
・ブランドパーパス
ブランドパーパスとは社会において「どのようなブランドになりたいか」、「自社のブランドを通じて、どのような影響を与えていきたいか」など、ブランドの存在意義について考えることです。
企業が社会で存在する理由を消費者に認知してもらい、共感を得ることでブランディングの強化につなげます。
・個人的な価値ではなく社会的な価値
ブランドパーパスとは「消費者個人にとって」ではなく、「社会全体の私たちにとって」どのような価値を提供していける存在なのかを定義するところから始まります。
そして社会全体に向けて、ブランドの存在意義を実現させていくための行動こそがブランドパーパスおいて重要なのです。
ブランディングとブランドパーパスの違い
- ・違い
ブランドパーパスがブランドの存在意義であることに対して、ブランディングとは消費者個人が得られるブランドの価値のことを指します。
ブランドパーパスは社内的な存在意義として認知を広めて、ブランドへの賛同や共感を集めることで、商品やサービスの購入、推奨行動につなげていこうとするものです。
- ・成功するための要素
ブランドパーパスが成功している企業は、消費者のみならず従業員や取引先などの関係者のことも考えています。社会がほしいと感じているのに、誰も提供していない「未充足の社会価値」を存在意義の中心として捉えているのです。
ほかにも商品やサービスを含むブランドに関することすべてが、押し込みや説得ではなく、惹きつけや共感を得て、購買をはじめとする消費者行動につながっています。
ブランドパーパスの事例7選
実際にブランドパーパスを掲げている行動している事例を7つ紹介します。
事例
・Amazon
Amazonのパーパスは「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」です。パーパスを実現するために「品揃え」、「価格」、「利便性」を改善していくミッションを掲げています。
そのためお客様が不便に感じていることを分析して解決することで、Amazonのブランドパーパスは実現しています。コロナによって消費者をはじめ、社会全体からの期待が高まっているでしょう。
・富士通
富士通のパーパスは「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」です。
パーパスの実現に向けて働くことだけではなく、仕事や生活をトータルにおいて充実させていくことをコンセプトにしています。
このコンセプトをもとに、リモートワークを推進し、働き方を含めた組織全体を変えることで、消費者だけではなく従業員に対してもパーパスの理解を推進しています。
・パンテーン
パンテーンのパーパスは「美しい髪によって、女性が一歩前に踏み出す勇気を与える」です。パーパスを実現するためのひとつとして新聞広告に「令和元年10月1日、内定式に自分らしい髪できてください」とメッセージを打ち上げたことで話題となりました。
テレビのコマーシャルや自社のWebサイトでも訴えかけたことで、インターネット上では賛否両論の意見がありましたが、売上が低迷していたパンテーンはV字回復を目指して動き出すきっかけになりました。
・ナイキ
ナイキのパーパスは「Just Do It(ためらわずやろう)」です。人種差別に反対し、試合時に国家斉唱を拒否したコリン・キャパニック選手の写真とともに、「全てを犠牲にしても、信念を貫け」とのキャッチコピーを発表しました。
反対派はナイキのシューズを燃やしたり、不買運動を起こしたりと猛反発しましたが、賛成派の熱狂的な支持も得ることができ成功しました。
・花王
花王のパーパスは「暮らしや社会・地域によいインパクトをもたらすこと」です。実現のためにブランドの思いを消費者に伝え、消費者とともに社会を変えていく活動が重要となっています。
例えばハンドソープの開発とともに、子どもが楽しく手洗いできるように「あわあわ手洗いの歌」を作成しました。社会の課題に対して、消費者の暮らしや社会での共感を得られるように活動しています。
・キリン
キリンのパーパスは「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となること」です。
酒類メーカーとしての責任を前提に「健康」、「地域社会・コミュニティ」、「環境」という社会課題に取り組みながら活動しています。
・岩手県「格之進」
岩手県産黒毛和牛を取り扱う「格之進」ブランドを展開している株式会社門崎のパーパスは「一関と東京を食で繋ぐ 岩手を世界に届ける」です。
レストラン経営、食肉加工品の販売卸、肉の啓蒙活動に取り組んでおり、地元岩手の生産者とともに寄り添うビジネスモデルを構築しています。
コロナによって店舗が休業になった際でも自社のパーパスを実現するために、自宅で格之進を味わってもらえるイベントを企画するなど、何をするときもパーパスを中心にした行動をとっています。
ブランドパーパスに欠かせない考え
ブランドパーパスを実現していくためには、どのような考え方が重要なのでしょうか。忘れてはいけない重要な考え方を理解しておきましょう。
企業の姿勢を示すことで支持を獲得
・消費者のみならず社員にも支持者を増やす
企業が今大切にしている考えや思いを消費者だけではなく、自社の従業員にも伝えていくことが大切です。
従業員はパーパスによって、会社で働くことのやりがいや意義を感じられ、企業は消費者や従業員と価値観を共有でき、信頼関係を築いていけるメリットがあるのです。
利益ばかりに目を向けるのではなく、企業を通して社会貢献することで支持者が集まってきます。
・社会に届けたい価値は競合他社との差別化であり、強みになる
消費者の身の回りには情報や物が溢れているため、「なぜその商品が完成したのか」、「どのようなメッセージが込められているのか」などブランディングだけでは消費者に選ばれにくくなっています。
消費者も多くの商品やサービスの中から納得できるものを選ぶために、ブランドパーパスが必要だと考えているのです。ブランドパーパスを実行しているブランドは、競合他社との差別化にもつながるため、強みとして活かしていけるでしょう。
コロナを機にさらに意識が強まるブランドパーパス
・ありきたりな言葉よりも意識が強まるブランドパーパス
コロナによって消費者が企業に求めるものは大きく変わりました。感染予防対策や失業など、さまざまな課題に対して、企業はどのように行動してくれるのかが重要となったのです。
この危機的状況下で消費者は、きれいな言葉を並べたメッセージは必要としておらず、早急で具体的な支援や行動を行う企業に対して、期待と共感を得やすくなっています。素早い行動を起こすためにも、ブランドパーパスが必要となってくるのです。
・一貫性が大切
従来のやり方や考え方が通用しなくなった今は「何を大切にするか」、「どんな行動を起こすか」、「今何をすべきか」という判断に迫られることが多くなりました。
ブランドパーパスが共有されれば、社内で一貫性を持った行動や考え方ができるのです。企業と社会をつなぐパーパスができていれば、危機的状況でもブレません。そのうえで消費者の声に耳を傾ければ、やるべきことが見えてくるでしょう。
まとめ
ブランドパーパスは社会全体において、ブランドの存在意義を示すものです。ブランドパーパスが明確になっていれば、消費者のみならず従業員からの支持も集められるため、社会とも従業員とも信頼関係の構築が可能となります。
また今はコロナという終わりの見えない状況のなか、さまざまなことを判断する場面があるでしょう。新しく何かを始める際も、ブランドパーパスに沿って行動することで一貫性のある企業へと成長していけます。