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ブランドエクイティとは
ブランドエクイティとは、ブランドに付随する資産価値のことです。もしブランドを換金することがあれば、どのような値段が付くのかということです。
ブランドエクイティを確立することができれば、企業の価値や評判が大きく上がります。ブランディングに関する施策を進めるうえで、正しい知識を身に着けておくことが大切です。
さらに、ブランドエクイティの計測は難しいといわれることが多いため、4つの要素を1つずつ検証していくといいでしょう。ブランドは、売買の対象にもなります。
ブランドエクイティは、他社のブランドを買収しようと考えているときにも役立ちますので、この機会にブランドエクイティに考えてみてください。
ブランドエクイティの意味
ブランドエクイティの意味は、あるブランドが顧客や取引先、社会全体に対して与える無形の資産価値のことです。資産価値ですので、プラスの面だけでなく、マイナス面も含まれるという特徴があります。
ブランドエクイティは、企業会計の貸借対照表に載る項目ではありません。さらに、ブランドエクイティ評価のアプローチ方法は、コスト・アプローチ、キャッシュフロー・アプローチ、マーケット・アプローチの3つあります。
ブランドエクイティに成功している企業は、スターバックスやサウスウエスト航空などが挙げられます。ブランドエクイティの高い商品は、低いものよりも選ばれる確率が高いです。
最終的な購買の判断を後押しするブランドエクイティに力を注げば、売り上げに貢献できるでしょう。
ブランドエクイティを構成する4つの要素
ブランドエクイティは、4つの要素で構成されています。4つの要素とは、ブランド認知、知覚品質、ブランド・ロイヤルティ、ブランド連想です。
ブランド認知とは、商品やカテゴリーや自分とどのような関わりがあるのかを正しく認知しているかどうかということです。そして知覚品質は、消費者がブランドの信頼性やサービス、機能、性能をどのように認識しているかどうかという点です。
ブランド・ロイヤルティは、愛着の度合いのことです。ブランドに対する思い入れが強い人は、繰り返し同じブランドを購入する傾向にあります。
またブランド連想は、ブランドを想像した時にどのようなことを一連で連想するかどうかということです。ブランドの連想内容が良くないと、消費者に選ばれるブランドとは言えないでしょう。
関連記事:【ブランド認知】プロセスを知ってブランディングを成功!
ブランドエクイティを高めるメリット
ここからは、ブランドエクイティを高めるメリットを紹介していきます。数多くの企業が、ブランドエクイティを高める努力を行っています。
ブランドエクイティを高めるためには、時間や労力がかかります。そのため心が折れそうになってしまうこともありますが、ブランドエクイティを高めることが企業にとっては大きな利益を生むことにつながります。
売り上げを向上させたいと考えている会社は、周り道に見える可能性がありますが、プロモーションへのアフターフォローに力を注いでブランドエクイティを確立させる努力をスタートさせることがおすすめです。
業界で優位な立ち位置を確立できる
ブランドエクイティを高めるメリットは、業界で優位な立ち位置を確立できるという点です。ブランドエクイティを高めることができれば、価格競争に巻き込まれずに作業ができます。
価格競争に巻き込まれないことのメリットは、薄利多売にならず十分な利益を確保できるということです。価格競争に敗れて、ブランド価値が下がってしまいブランドエクイティが下がってしまったという例も過去に多くあります。
さらに他社とのサービスとの差をつけられるため、消費者に選んでもらえるようになります。消費者にとっても、ブランドエクイティが高い会社のサービスを選べば安心できるというメリットがあります。
競合他社が多い業界で生き残りをかけるためには、ブランドエクイティを見直してみるといいでしょう。
顧客のロイヤリティを高められる
ブランドエクイティを高めた会社やサービスは、顧客のロイヤリティを高められるという点もメリットです。顧客の維持につながるため、優良な顧客が繰り返し商品やサービスを手に取ってくれるでしょう。
そして顧客からの信頼を獲得できるため、顧客からの紹介や口コミで新規顧客を獲得することにつながる可能性があり、新規顧客がリピーターになるというよりリサイクルになる確率が高いです。
ブランド・ロイヤルティの高い顧客は、価格が高い商品であってもこのブランドだからと手に取ってもらえる可能性があります。また、ブランドを所有、利用することで顧客が優越感を感じられるようになり、さらにブランドエクイティが高まっていくでしょう。
購入した顧客に対して、アフターフォローや積極的なプロモーションを起こしてみるといいでしょう。
ブランド エクイティの成功事例
それでは、ブランドエクイティで成功している事例を見ていきましょう。誰もが知る有名ブランドであり、高いブランドエクイティを誇る企業を4社ご紹介します。
・ダイソン
「吸引力の変わらない、ただ一つの掃除機」でお馴染みのダイソン。技術力もさることながら、高いマーケティング力を持つ企業として知られています。
CMで流れたこの一言は視聴者に強烈なインパクトを与え、ダイソン=吸引力、というイメージを定着させたと言えます。
今となっては、サイクロン式を採用した吸引力の強い掃除機は珍しくありません。しかし、それでも吸引力のイメージは、ダイソンが他社よりも強いと言えるでしょう。
これがブランドエクイティの構成要素における、「ブランド連想」が確立しているという証拠です。
・スターバックス
誰もが知る、セルフ式カフェの代名詞的なブランドである「スターバックス」。
スターバックスのブランド戦略は3C分析を活用しています。これは「自社の強み」「競合の特徴」「顧客のニーズ」の3つの観点からブランディングしていく方法です。
3C分析を基にして、スターバックスは、お洒落、美味しいコーヒー、高級感がある、といったブランドイメージを確立していったのです。
ブランドイメージを確率させることで、ブランドエクイティにおいて最も重要な構成要素である「ブランド・ロイヤリティ」に直結していると言えるでしょう。
・無印良品
食品・家具・雑貨から衣料まで、生活のあらゆる品を提供する無印良品は、「これがいい」ではなく、「これでいい」という価値観で展開するブランドです。
奇をてらったデザインをせず、どんな生活基盤を持つ顧客にも馴染むのが無印良品の商品イメージです。
そして、誰にでも受け入れやすいデザインであると同時に、無印良品の商品は「長持ち」すると評判です。価格も低価格であるため、消耗品のリピーターや部屋一式を無印良品で統一しているファンもいます。
無印良品は「低価格かつ高品質」という絶対的な信頼感を生み出していると言えるでしょう。
ブランドエクイティにおける、「知覚品質」がとても高いことがわかります。
・星野リゾート
価格競争から抜け出すことは、ブランディングにおける大きな目的であり、競争から逸脱したブランドはブランドエクイティの高さの証明です。
星野リゾートが提供するサービスは、決して低価格ではありませんが、その知名度と人気は業界でもトップクラスと言えるでしょう。
特徴は、コンセプトの決定を経営陣が決めるのではなく、現場の従業員が主体的に決めているという点。
顧客の生の声を反映させ、よりターゲット層を具体的に絞ることで、高い満足度を実現しているのです。
ブランドエクイティの高い例
これまでご紹介した企業も高いブランドエクイティを誇りますが、その中でもとりわけ高い評価を得ている企業があります。
それが、化粧品メーカーとしてお馴染みの「資生堂」。以降で、詳しく解説していきます。
・資生堂
資生堂は、国内シェア率1位、世界シェア率でも5位を誇る、日本を代表する化粧品メーカー。
その特徴は、「メガブランド戦略」にあります。これは、各部門でターゲット層やニーズを絞ったブランドを複数展開することで、あらゆる層の顧客を獲得する戦略。
日本人の黒髪をより艶やかにするシャンプーというコンセプトを基に展開された「TSUBAKI」や、30〜50代の大人の女性のアンチエイジング化粧品として展開した「クレ・ド・ポー ボーテ」など、様々な分野で一大ブランドを確立したのです。
顧客拡大のため、資生堂は国内だけでなく、世界に目を向けた施策を行うことで、欧米で拡大するアジアブランドとして人気を獲得しました。製品ポートフォリオには、消費者の問題意識に応え、環境問題への取り組みを反映しています。
ブランドエクイティの3つの算出方法
ここからは、ブランドエクイティを測るための算出方法について述べていきます。
基本的には数字に表れにくいところを評価するのがブランドエクイティですが、客観的な分析ができなければ、戦略に活かしようがありません。
以降でご紹介する方法は、自社がどれくらいのブランドエクイティなのかを知るために、きっと役立つことでしょう。
ブランドエクイティを算出する方法は、主に以下の3つです。それぞれ詳しく述べていきますので、参考にしてください。
費用から概算
これは、ブランドを立ち上げた際に、あるいはリプレイスした際に、「どれだけの費用がかかったのか?」を元に算出する方法です。
WEBサイトやロゴなどを作るのにかかった製作費用、雑誌の広告やCMなどを製作及び掲載するためにかかった宣伝費用などがこれにあたります。
ブランドを料理とするなら、「材料費」から価値を概算するイメージです。
財務情報を用いた概算
こちらは、「将来的な利益」を鑑みてブランドエクイティの概算を出す方法です。
将来的なということで、まだ確定していない利益のため、やや抽象的な方法ではあります。例えば、将来得られるであろう利益を、現在の財務から差し引いて算出するなどです。
また現在の財務状況において、ブランドのネームバリューがどれくらいの役割を果たしているのかを、考えて算出するといった方法もあります。
NPSを活用して評価を可視化
NPSとは、「ネットプロモータースコア」を略したもので、言うなれば顧客の意識調査の結果からブランドエクイティを算出する方法です。
インターネット上でよく見かける、アンケート調査が代表的です。例えば、「第三者に勧めたいと思うか?」や、「満足度を5段階で評価してください」などの質問が当たります。
アンケートを集計して、批判的な回答をした人の割合を、肯定的な回答をした人の割合から差し引いて算出するのが、NPSを持ちいた算出方法です。
ブランドエクイティを確立させるためには
ここからは、具体的にブランドエクイティを確立させるためにはどうすればいいのか紹介していきます。ブランドエクイティを確立したいと考えている担当者は、参考にしてみてはいかがでしょうか。
ブランドエクイティを確立できれば、国内だけでなく海外でも戦えるブランドや商品に成長させることができるようになる可能性があります。
ブランドエクイティを構成している4つの要素を見直してみたり、ブランドエクイティの確立をサポートしているコンサルティング会社などを利用してみることもおすすめです。
自社の価値を知る
まずは、自社の価値をすることが大切です。競合にはない強みを知ることや業界での立ち位置を把握することが大切です。
自社の企業価値は、上場企業であれば時価総額と負債の価値を加えて客観的に測定することもできます。さらに顧客にアンケートを取って自社の価値を測定するという方法をとることがおすすめです。
そして、自分の会社やサービスが顧客に何を提供できるのかということを実際に書き出していくこともいいでしょう。まずは、10個程度リストアップしてみると見えてくるものがあるはずです。
また競合他社の製品やブランドを詳しく分析することで、自社の強みを見つけることも可能です。業界研究を深めて、ブランドエクイティを確立させていきましょう。
発信したいブランドイメージを決める
発信したいブランドイメージを決めることは、とても有効です。ユーザーにどんな印象を抱いてもらいたいかやどんなユーザーに提供するかということを明確にしていきましょう。
発信したブランドのイメージは、ターゲットユーザーに好まれるものに設定することが大切です。発信したいブランドイメージを決める前に、サービスや商品を手に取ってもらいたい消費者を具体的に想定することが大切です。
例えば20代の女性をユーザーに想定した場合と、50代の男性がターゲットという商品ではブランドイメージが大きく異なります。さらに商品やブランドにどのようなイメージを持ってもらいたいのかという設定を細かく決めておくことがおすすめです。
ブランド戦略に落とし込む
最後は、ブランド戦略に落とし込むことが大切です。ブランドの課題を知り、改善点を見つけて見直していくといいでしょう。
ブランド戦略は、個人や部署の目標に落とし込むこともおすすめです。働いている人が、ブランドエクイティを高める当事者意識を持ってもらうことが大切です。
また企業事態のブランドエクイティの場合、人事制度にブランド戦略を落とし込むことも効果的です。従業員のブランドに対する愛着度が高まれば、やる気アップにもつながります。