ブランド認知の効果とは
ブランドという言葉を聞くと、高級品というイメージがすぐに浮かんできます。今やブランドは、高級品の代名詞のように認識されがちですが、実際にはそういう意味ではありません。
例えば、コンビニで飲料水を購入しようとして、同じ種類のものがいくつか並んでいたとすると、ついつい、よく聞くメーカーの商品を手にとってしまいがちです。それはなぜでしょうか。それはやはり、そのメーカーの商品の信頼度が高いからにほかなりません。
有名なメーカー品であれば、味にも品質にも間違いはないと思っているからなのです。つまり、それこそがブランドというイメージの力だといえるのです。
ブランド認知を行って成功すれば、自ずと、自社の商品やサービスにファンやリピーターがどんどん増えてくることはもちろん、それだけではなく、価格競争に巻き込まれることはなくなりますし、また、優秀な人材を確保することもできるのです。
ブランド認知のプロセスを知って成功するために、ブランド認知の効果について具体的に見てみましょう。
価格競争の回避
競合している他社と差別化を行う場合、もしブランド認知を行っていなければ、いったい何を武器にして戦うことになるでしょうか。一番手っ取り早いのは、価格競争です。
ブランド認知を行えてないと、価格を下げなければ他社と区別することができずに、価格競争に巻き込まれてしまいます。
価格競争でしか勝てないとなると、長く経営をしていく場合に大きなリスクを伴います。価格を下げれば、当然利益はその分低くなりますし、また、顧客も安定はしません。
自社よりもさらに低い価格で他社に提供されてしまえば、当然ながら顧客は簡単にそちらへ流れていってしまいます。
ブランド認知を行って、ファンがついていれば、価格競争などに左右されることはなくなります。ブランド認知には、値段ではなくブランドに対して価値を見いだすようになり、揺るぎない安定感がもたらされ、購入へと導くのです。
ブランド認知によって、競合する他社よりも一歩抜きに出て、優位にたつことができるのです。
優秀な人材の確保
ブランド認知を行えば、優秀な人材を確保することにも繋がります。ブランド認知を高めれば、自社のブランドのファンが増え、そのブランドから発信される経営理念や、会社自体の経営のあり方などに共感を持つ、多くの人材が興味をもってくれるようになります。
会社のファンによって人材の確保ができれば、採用の際におけるミスマッチが減り、人材不足の状況から脱却することができるようになります。
また採用した人材がブランドを意識して働くことによって、さらにブランド認知は進み、ブランド認知効果はさらに期待することができるでしょう。
ブランド認知の成功例
それではブランド認知の成功例を次に紹介します。具体的には、アップル社とスターバックス社の2社です。これらの成功例を学ぶことで、具体的なアイデア出しに役立つことでしょう。
スターバックス
スターバックスはご存知、人気のコーヒー店ですが、他のコーヒー店よりも高単価でありつつ、CMなども特に行うこともなく、それでも大勢の顧客に愛され続けているのはなぜなのでしょうか。ブランド認知は、スターバックスという「世界観」にあります。
まず、スターバックスには「消費者に選ばれるためには、社員から」というモットーがあり、徹底して社員へ、インナーブランディングを行うことによって、ファンを作ることに注力しています。
社員のインナーブランディングは、人材一人ひとりのモチベーションをあげることにつながり、離職率を下げ、採用などのコストを下げることにつながります。また意識の高い社員が多くいることで、自ずと商品そのものの品質向上、サービスの向上にもつながっていきます。
これらのブランド認知の効果によって、スターバックスは高単価でありながらも、人気を不動のものへと位置付けることに成功したのです。
Apple
ブランド認知の大成功をおさめた、ブランドの代表的なもののひとつであるAppleの、ブランド認知の成功のプロセスについて検討し、その魅力に迫ってみましょう。
まずAppleのデザインはとてもシンプルで親しみやすいところに魅力があります。世界中の人種や世代や地域差など全てを超えた親しみやすいデザインは革命だったと言っても過言ではありません。そのデザインによって、世界のコミュニケーションを牽引することになりました。
またアップルストアは、他社との差別化に大きく貢献することになりました。アップルストアはAppleのみの製品を取り扱い、また購入後の修理などのアフターフォローもしっかりとされており、信頼性の高いブランドとして確立していきました。
ブランド認知のプロセス
企業のブランド認知を高めていくためには、そのプロセスについて段階を踏んで進めていく必要があります。
プロセスは大きく分けて4つのステップで構成されています。まずは、現状の分析、ブランドコンセプトの設定、伝達方法の確認、そして効果測定をして改善すべき部分があれば改善する、という手順となっています。
現状の分析
ブランド認知のプロセスは、現状の分析をするところからはじまります。現状の分析というのは、社会の中で、自社は今どのポジションに立っているのか、周囲からどのように見えて、どのような評価を受けているのか、といったことを確認することです。
自社のポジショニングを知ることで、商品やサービスの提供のターゲットをどの層に持っていくかが、明確になります。ターゲット層を把握し、特定させることができれば、自社のブランド認知を高める手がかりとなります。
ブランドのコンセプトを設定
ブランド認知のプロセスの第二のステップは、今度はブランドのコンセプトを設定していきます。ターゲット層を特定したら、そのターゲット層に合ったブランドの定義を特定します。ブランドの定義のことをブランドアイデンティティと言います。
ブランドアイデンティティの具体的な要素は、ブランドの特徴、社会的にどのような役割を果たすのか、ブランドの今後の目的、ブランドの差別化、ブランドを提供することによって得られる価値、またブランドの象徴となるロゴマークやコピー、デザインなどがあります。
これらのブランドアイデンティティについて、それぞれ検討していきます。
伝達方法の確認
プロセスの3つめのステップは、ブランド認知の伝達方法についてです。せっかくいいアイデアやプランがあっても、伝達方法が効果的でないと、意味がありません。
伝達方法には、Webサイトやチラシやポスターなどの紙を利用したメディアや、商品やサービス、SNSやイベントなどを利用したコミュニケーションでの方法、PR活動や、広告、キャンペーンなどがあります。
ブランド認知のプロセスは、今現在の現状の分析をし、導き出したターゲット層に最善の伝達方法を選定することにあります。何によってブランド認知を行うかということは、とても重要なポイントとなります。
関連記事:「コンテンツSEO」が企業ブランディングに与える3つの効果
効果測定・改善
ブランド認知のプロセスの最後は、ブランド認知がどれくらい市場に認知されているかどうかを把握し、その結果を踏まえて、修正を加え、改善していくことが求められます。
顧客のニーズをとらえることができないまま放置していても、問題は解決しません。定期的なアンケート調査などを行い、問題のある箇所をあぶり出し、調整を加えていくことで改善を図ります。
また社会全体の流れなどにも注意が必要で、今、ステークホルダーが何を求めているのかを細かく察知し、常に改善し続けていくことが大事です。
もし効果が現れないようであれば、もう一度プロセスを初めからやり直すことも必要となってきます。このようにブランド認知のプロセスは、常に繰り返し行っていかなければいけません。